電子透かし(でんしすかし、digital watermarking)とは、
画像や
音楽等の
デジタルコンテンツに
情報を埋め込む情報ハイディング(データハイディング)技術の一種である。
概要
電子透かしは、
ステガノグラフィの応用から生まれた技術であり、従来から存在する目に見える
透かし(ウォーターマーク)とは別のものである。電子透かしには知覚可能型と知覚困難型の2つがあるが、通常、電子透かしと言えば、後者の知覚困難型電子透かしのことを指す。
情報を埋め込むコンテンツには、テキスト、画像、音声、動画、プログラムなどがある。
コンテンツに埋め込む情報は、作者名、課金情報、コピー可能回数といった
著作権関連の情報が多い。
電子データの透かし
見た目には分からないが、検出ソフトを使用することで埋め込まれた情報を取り出すことができる。不正コピーやデータの
改竄を見破ることが出来るがだからといって、不正コピーを「防止」できるわけではない。あくまでコピーは出来るが犯人を突き止めることができる程度なので、多少の犯罪抑止効果しか期待できない(コンテンツに利用しても、
著作権侵害を防止できるわけではない)。
DRMに関しても「電子透かし」を使用していることを理由に著作権侵害に有効という人もいるが、物理的にコピーを防ぐことはできないのでむしろそのような用途ではなく、電子透かしは本物である証明として利用するという、
お札に入れられている「
透かし」と同じ効果を期待したほうが現実的である。
また、これまでの動画に対し電子透かしを付与しても、ビデオの再圧縮やアナログ変換を行うことで電子透かし部分の情報が失われる等の問題があったが、2007年11月19日にKDDI研究所が加工されても情報が失われないMPEGビデオ電子透かし技術「MPmark」発表した。
印刷物への埋め込み
映像への埋め込み
実際の映像(音声)に人間が認識できないほどのレベルで変化をつけることで「電子透かし」を付与させることができる。そのため、映像の複製やテレビ画面や映画のスクリーンに表示された映像をビデオカメラなどで撮影しても「電子透かし」が消えない「再撮耐性」がある(旧式の製品などビデオカメラのスペックが低い場合は、「再撮耐性」が有効に機能しない場合がある。また、撮影に使用された
メディアが粗悪な保存環境などで劣化した場合なども、「再撮耐性」が有効に機能しなくなる事がある)。従来の電子データに対する透かし同様に複製を抑止することはできないが、透かし情報が消えないため、複製物に対して著作権を主張することが可能となる。デジタルシネマ設備を有する映画館であれば独自の透かし情報を設定することが可能であるため、「どの映画館で撮影された物なのか」などといった特定も可能となった。近年問題となっているテレビ番組や映画の海賊版対策に対する効果が期待されている。仮に、「電子透かし」を消除するとなると、映像(音声)そのものに手を加える事になり、
著作物の改変行為にあたる(
著作者人格権の侵害)。
著作権の主張のために、チャンネル名や放送局のロゴなどを可視的に画面に乗せる場合もあるが、それらは電子透かしとは別のものである(
ウォーターマークの項を参照)。
参考文献
- 松井甲子雄・岩切宗利、『情報ハイディングの基礎』、森北出版、2004年、p.4(電子透かしの項)
- 電子情報通信学会編、『情報セキュリティハンドブック』、オーム社、2004年、p.260-(6.3章 電子透かし)
- 吉田一彦・友清理士、『暗号事典』、研究社、2006年、p.436(電子透かし)
関連項目
外部リンク
てんしすかし
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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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