重水 [Heavy water] [被リンク数: 34]

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重水(じゅうすい、Heavy Water)とは質量数の大きい同位体の水分子を多く含み、通常のより比重の大きい水のことである。物理的、化学的性質が通常の水と若干異なる。重水に対して通常の水 (1H216O) を軽水と呼ぶ。
通常の水は 1H216O であるが、重水は水素の同位体である重水素(デューテリウム: D, 2H)や三重水素(トリチウム: T, 3H)、酸素の同位体 17O や 18O などを含む。
狭義には化学式D2O、すなわち重水素二つと質量数16の酸素によりなる水のことを言い、単に「重水」と言った場合はこれを指すことが多い。別名に酸化重水素 (Deuterium oxide, Water-d2) など。自然界では、D2Oとしての重水はほとんど存在せず、重水はDHOの分子式として存在する。

化学的性質

D2O で表される重水の融点は3.81 = 276.96K (1atm)、沸点は101.43℃ = 374.58K (1atm) である。また密度は、1.105 g/cm3 (1atm, 20℃) である。粘性は20℃で0.00125 Pa·s
またO-D結合は同位体効果により、D2OはH2Oよりも電気分解の速度が遅い。 このような軽水と重水の性質の違いを利用して、重水をわずかに含む天然の水から濃縮、分離することができる。
重水は、物質の溶解度電気伝導度電離度などの物性や反応速度が軽水とは異なる値を示す。それ故、飲料水などとして大量に(体重に対して数10%以上)摂取すると生体内反応に失調をきたす。重水中では魚類はすべて死に、植物は発芽しない。微生物は重水中でも培養できるものもある。

物理的性質

用途

重水は原子炉減速材として使われる。水素は高速中性子熱中性子に減速する能力(減速能)にすぐれるため、水素を大量に含む水は減速材として重用される。ただし軽水は減速能とともに中性子を吸収する能力も大きいことが問題であり、ウランの濃縮技術が未発達だった初期の原子炉開発においては、軽水に次ぐ減速能を持ち軽水に比べて中性子吸収が少ない重水素からなる重水が減速材として使用された。そのため、第二次世界大戦のころから重水の生産設備が軍事目標として扱われていた。
重水を利用する原子炉(重水炉)は、現在では核兵器の製造に直結するウラン濃縮を行うことなく天然ウランをそのまま核燃料に使用することができるCANDU炉や、燃料ソースの多様化を求めた新型転換炉などで使用されている。
なおこの減速材としての働きは、医療にも応用されている。すなわち放射線治療において、エネルギーが高い高速粒子のままでは生体に対する悪影響が強すぎるので、減速中性子を利用する治療方法が提唱されているhttp://www.jaeri.go.jp/jpn/publish/01/ff/ff44/tech01.html。中性子を軽水で減速すると中性子が軽水に吸収されてしまいビーム出力が弱くなるため、重水が減速材に使用される。
また、カナダのサドベリーニュートリノ観測所 (en:SNO) では、ニュートリノの検出に重水が利用されている。
他には、NMR解析用の溶媒として一般的に重水が用いられる。

関連項目

外部リンク

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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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