概説
これまでその実態がほとんどレポートされることなく、実態とはかけ離れたモンスター的なイメージばかりが先行していたため、社会防衛論的見地からの
隔離論や
厳罰化論が唱えられていた。
しかし、
2001年に秘書給与流用の罪で
刑務所に収監され、実際に累犯障害者と共に生活を送った元
衆議院議員の
山本譲司が、出所後に自身の体験談やその後の追跡調査などから書き下ろした著書『獄窓記』『累犯障害者』などをきっかけに、メディアでも取り上げられるようになりその実態が徐々に知られつつある。
同書によれば、
- すべての受刑者は入所後、作業の適応力を調べるための知能テストを受けるが、その結果によると全受刑者のうち4分の1が知的障害者であった。また彼らが刑務所内で行う作業は、結んだ紐を解いたり、一つの箱の中の数種の色の蝋のかけらをそれぞれに分けるといった、およそ生産労働とは呼べないものばかりである。
- それ以外にも視覚障害、聴覚障害、身体障害、精神障害の受刑者が多数存在し、彼らは劣悪な生育歴の中でほとんど福祉と結びつくことがなく、おにぎり一個の万引き(窃盗罪)や無銭飲食・無賃乗車(詐欺罪)のような微罪で、7回、8回と繰り返し刑務所に入ることによって生き延びているというのが現状である。
- 累犯障害者に刑事訴訟法の定めるところの訴訟能力や受刑能力が備わっているかどうかは、極めて疑わしい。しかし身元引受人や受け入れてくれる福祉施設がなく、また自力で再就職し生活の基盤を確保することも困難であるため、刑務所に入らなければ生存すら危ぶまれ、検察官や裁判官もやむを得ず受刑させている面がある。
- またきわめてコミュニケーション能力に乏しいため、冤罪被害に遭うこともしばしばだという。社会では男性はやくざの鉄砲玉、女性は売春などに利用される場合が多いという。結果として刑務所を終の棲家とするために、最後にはより重い罪を犯す場合もあるという。
- 彼らにとっては、実社会は刑務所よりも過酷な環境であるが為に、彼ら自身やその被害者にとっても「悲劇」が繰り返されている。
山本曰く、「彼らが
加害者となったら当然罰せられるべきだが、その前に彼らは人生の大半を不遇なまま過ごして来た
被害者でもある事を忘れるべきではない」「彼らに十分な福祉さえ行き届いていれば、防げた事例は幾らでもあった」との事である。
2007年、厚生労働省の研究班(田島良昭南高愛隣会理事長)の調査結果によれば、、刑務所に服役している知的障害者410人のうち、再犯者が7割を占める。一方で公的福祉を受けられる「療育手帳」所持者は26人しかいなかった。身元引受人は父母が20%、未定や不詳が47%を占める。
福祉分野や矯正教育においても、国の対応がもっとも遅れている分野の一つであり、早急な施策が望まれる。
参考書籍
関連項目
脚注
外部リンク
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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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