原料と製法
サトウキビ
サトウキビの茎を細かく砕いて汁を搾り、その汁の不純物を沈殿させて、上澄み液を取り出し、煮詰めて結晶を作る。伝統的な製法では、
牡蠣灰に含まれるカルシウム等のミネラル分が
電解質となり、
コロイドを凝集させる為、牡蠣殻を焼いて粉砕した牡蠣灰を沈殿助剤として加える例もある。煮詰めてできた結晶と結晶にならなかった溶液(
糖蜜)の混合物を遠心分離機にかけて粗糖を作る。粗糖の表面を糖蜜で洗った後、さらに遠心分離機にかけて、結晶と糖蜜を分ける。その結晶を温水に溶かし、不純物を取り除き、糖液にする。それを煮詰めて結晶を生じさせ、真空状態のもとで糖液を濃縮する。結晶を成長させた後、再び遠心分離機にかけて、現れた結晶が砂糖となる。
光合成において飽和点が高い為、他の植物よりも多く糖質を生産できる。
なお、2008年現在サトウキビは
バイオエタノールの原料でもあるため価格が高騰している。
テンサイ(サトウダイコン)
テンサイの根を千切りにし、温水に浸して、糖分を溶け出させて、その糖液を煮詰め、ろ過して不純物を取り除き、真空状態のもとで糖液を濃縮し、結晶を成長させた後、遠心分離機にかけて、現れた結晶が砂糖となる。
サトウカエデ
サトウカエデの幹に穴を穿ち、そこから樹液を採集する。その樹液を煮詰めて濃縮したものが
メープルシロップである。更に濃縮を進めて固体状になったものが
メープルシュガーである。
歴史
サトウキビの原産地は、南
太平洋の島々で、そこから
東南アジアを経て、
インドに伝わったとされる。
紀元前2000年頃にインドで砂糖が使われていたとされ、サトウキビから砂糖を作ったのは、インドが最古とされる。インドの砂糖やサトウキビは、
アラビア人によって
ペルシャ・
エジプト・
中国などへと伝えられた。英語:
sugar と、日本語:
satou の頭部は、砂糖をあらわす
梵語からきた、語源を同じくする言葉である。
日本には
奈良時代に
鑑真によって伝えられたとされている。中国においては
唐の
太宗の時代に西方から精糖技術が伝来された事(それ以前の中国では、砂糖はシロップ状の糖蜜の形で使用されていたといわれている)により、持ち運びが簡便になった事と関係があると言われている。当初は、輸入でしかもたらされない貴重品であり医薬品として扱われていた。一方、中国と
冊封関係にあった
琉球王国では、
1623年に
儀間真常が砂糖生産の奨励を始めたとされている。
1747年に
ドイツの化学者アンドレアス・マルクグラーフがテンサイから砂糖と同じ成分をとりだすことに成功した。
フランスやドイツでテンサイが栽培されるようになった。ナポレオンがこのテンサイに注目し、製糖業が発達した。
生産量
世界
砂糖の生産量は増加しており、1980年代には年1億トン前後であったものが2000年代には年1.4-1.5億トン程度になっている。全生産量のうち約30%が貿易で取引される。生産量の内訳は、サトウキビによるものが約70%、テンサイによるものが約30%である。サトウキビからの砂糖の主要生産国は、
ブラジル・
インド・
中国などであるが、ブラジルは中国の約3倍の生産量、インドは中国の約2倍の生産量である。テンサイからの砂糖の主要生産国は、
EU各国(
ドイツ・
フランス他)、
アメリカ合衆国、
ロシアである。
日本
砂糖の日本国内消費・生産は、1995-2004年度の10年間平均(1995年10月-2005年9月)では、国内総需要は年230万トン(国産36%:輸入64%)、国産量は年83万トン(テンサイ約80%:サトウキビ約20%)である。年毎の動向を見ると、総消費量は減少してきたが下げ止まっている状態である。国産量は微増傾向にあるが、それは主にテンサイ糖の増加によるもので、サトウキビ糖は微減傾向にある。
サトウキビは、主に
沖縄県や
鹿児島県といった地域で、テンサイは
北海道で主に生産される。
種類
- 含蜜糖 - 黒砂糖・白下糖・カソナード(赤砂糖)
- 分蜜糖 - 粗糖 - 精製糖
化学成分
ショ糖を酵素的に分解してできる果糖とぶどう糖の混合物(
転化糖)は、砂糖より甘みの強い甘味料として使われる。水分保持効果があり、
寿司飯に加えるとデンプンの
老化を抑えて冷えてもおいしさが長続きする。
砂糖が脳が疲れたときによいといわれるのは、生物体内で砂糖が分解されて生じるブドウ糖が、脳活動のエネルギー源としてすぐに供給されるためである。2007年、
脳の
エネルギー源は砂糖しかないと一部の人が誤解を招く
CMが流され、問題となった。
健康との関連
砂糖は
肥満・
糖尿病の原因になる食品として問題視されることもある。ただし、
油脂にも共通する問題であるが、これらは実際のところ口当たりが良く、大量に食べても味覚が飽和するだけで「(
食塩のように)味がきつくて食べられなくなる」ということがないため、
ついつい一度に摂取しすぎるのである。どのような食品でも過剰に摂取すれば害になり、適切な摂取が健康を維持することにつながる。
WHO/
FAOは、レポート『慢性疾患を予防する食事・栄養素』(
Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases WHO/FAO 2002年)において慢性疾患と高カロリー食の関連を指摘し、将来食事中の総熱量(総カロリー)に占める糖類の熱量を10%以下にすることを推奨している 。なお、
日本人の食事摂取基準(2005年版)推定エネルギー必要量の10%を糖類をすべて砂糖に換算した場合、成人で約50
一方アメリカの消費者団体CSPI(Center for Science in the Public Interest)は、「消費者は、糖分を多く含む食品の摂取を控えなければならない。企業は、食品や飲料に加える糖分を減らす努力をしなければならない」と主張し、
FDA(米国)へソフトドリンクの容器に健康に関する注意書きを表示し、加工食品と飲料によりよい栄養表示を義務付けるよう請求している。
アメリカでは肥満対策のため、公立学校で砂糖を多く含んだ飲料を販売しないように合意されている。アメリカでは、マクドナルドやペプシコなど11の大企業が、12歳以下の子どもに砂糖を多く含む食品など栄養価に乏しい食品の広告をやめることで合意している。イギリスでは2007年4月1日より砂糖を多く含む子供向け食品のコマーシャルが規制されている。
う蝕(虫歯)と砂糖との関係はよく知られているが他にも砂糖と疾病との関係が指摘されている。
- 高カルシウム尿症の尿路結石症患者は砂糖の過剰摂取しないように勧告されている。
-
虚血性心疾患に関してはアメリカ心臓協会の2006年の生活指針は、砂糖の多い食べものを減らすようにすすめている。
-
注意欠陥・多動性障害(ADHD)と砂糖との関連を指摘する識者も少数存在する<ref>Jeff Comisarow Can Sweet Treats Drive Kids Crazy? Sugar andHyperactivity in Children Nutrition Bytes Vol.2(1), 1996 </ref><ref name="Schoenthaler803ny">S.J. Schoenthaler, W.E. Doraz, J.A. Wakefield, “The Impact of a Low Food Additive and Sucrose Diet on Academic Performance in 803 New York City Public Schools,” Int J Biosocial Res.8(2), 1986, pp185-195.</ref>。
その他
賞味期限
- 日本で販売されている砂糖のほとんどには、賞味期限が記載されていない。理由は食品衛生法やJAS法で、賞味期限の表示を免除されているためという。一部のメーカーでは、代表的な長期保存の可能な食品である缶詰の賞味期限に倣う形で、製造後3年に設定していたことがあった。他の調味料の賞味期限の内部的な目安が3年程度とされることから、事実上の賞味期限(メーカーが品質を保証できる期間)は3年から5年程度と考えられる。
副生成物の利用
- 搾りかすなどの副生成物の年間排出量は、世界中で約1億トン以上と言われ、製糖工場自身の熱源として利用されるだけでなく、石灰分を多く含むため、「製鉄」、「化学工業」、「大気汚染を防止する排煙脱硫用資材」、「上下水の浄化」、「河川海域の水質底質の改善」、農業用の土壌改良材など様々な利用がされている。また搾りかすの一部は、堆肥として農地に還元されるほか、キクラゲの菌床栽培の培地原料としても利用される。
脚注
関連項目
参考文献
- シドニー・ミンツ『甘さと権力―砂糖が語る近代史』平凡社 1988. ISBN 4582408028
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川北稔 『砂糖の世界史』 岩波ジュニア新書 岩波書店 ISBN 4005002765
- 西尾弘二 『砂糖屋さんが書いた砂糖の本』 三水社 ISBN 4915607461
- アスペクト、ビジネスアスキー 編 『砂糖』至宝の調味料 アスペクト ISBN 4757206348
- 伊藤汎 監修 『砂糖の文化誌 ―日本人と砂糖』 八坂書房 2008 ISBN 4896949223
外部リンク
さとう
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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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