油圧ショベル [Excavator] [被リンク数: 48]

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油圧ショベル(ゆあつショベル)とは、アタッチメントの付け替えによって様々な用途に使われる建設機械である。下向きのバケットを取り付けてバックホーとして使うのがもっとも一般的だが、その他にも上向きのバケットを取り付けてローディングショベルとして、ブレーカーユニットを取り付けて破砕に用いるなど、幅広い用途に使われる。
油圧式ショベルユンボパワーショベルショベルカードラグショベルともいう。また、車両重量が6トン未満のものに関しては、ミニ油圧ショベルとして区別されている。英語ではエクスカベーター(Excavator)。

動力源

ほとんどの機械がディーゼルエンジンを動力源としている。エンジンから得た動力を油圧ポンプで油圧力に変換し、油圧力を用いて走行・旋回および作業機の操作を行う。近年では街中の騒音を配慮し、騒音および振動に対する防止策などが講じられているものが多い。 国内においては、国土交通省が低騒音型建設機械、超低騒音型建設機械の指定制度がある。
最近ではエンジンの代わりに電気モーターを搭載し、外部電力を取り込んで油圧ポンプを駆動するタイプの油圧ショベル(通称:電動ショベル)の開発が活発化。またエンジンとバッテリー、モーターを組み合わせたハイブリッド機の開発も盛んである。 鉱山などで使われる機体質量100トン以上の大型機の中には、ディーゼルエンジンで機体内の発電機を動かし、発電機から得る電力で油圧ポンプを駆動させて本体を動かす、ディーゼルエレクトリック駆動の油圧ショベルもある。

名称

日本においては、一般的に「パワーショベル」または「ショベルカー」という呼び名が定着している。
油圧ショベル
1990年代に入ってから、社団法人日本建設機械工業会により新たに制定された統一名称である。
パワーショベル
小松製作所が商品名として用いた言葉が一般に広く普及したものである。
ショベルカー
新聞などマスコミで使われることが多く、一般にも比較的よく知られた呼び名である。ただし、資材の積み込みなどに用いるホイールローダを指すこともあるので、混同しないよう注意を要する。
ユンボ
もとはフランスの建設機械メーカーであるシカム社(SICAM)の商標。新三菱重工業(現:三菱重工業)が技術導入して日本で生産・販売した結果、日本国内でこの名前が広く普及した。現在では油圧ショベルを指す代名詞として現場などで使われている。
バックホー
作業機先端を機体側に引き寄せる方向に動かして作業するタイプの油圧ショベルを指す。
ドラグショベル
「バックホー」と同意。専ら国土交通省など官庁の文書に使われ、日常使用することは少ない。
ローディングショベル
直訳すると「積み込みショベル」の意。鉱山の採掘現場で使う大型機に多い。作業機を機体手前から前方および上方に押すように動かして作業する。「フロントショベル」とも。

走行装置

多くはクローラによって走行するが、自動車のようなタイヤを装備したものもある。タイヤ式はクローラ式より不整地での走行性や作業中の安定性に劣るが、公道を自走して作業現場へ移動できるという利点がある。クローラ式のものはキャリアカーなどのトラックに載せて現場へ運ばなくてはならない。クローラの駆動は本体の油圧ポンプで走行装置の油圧モーターを動かして行っている。

アタッチメント

油圧ブレーカー
タガネの打撃で物を破壊する。コンクリート構造物の破壊、採石場での大岩石の小割り、道路工事の岩盤破砕・溝堀などに使用する。発破作業が出来ないトンネル工事にも使用される。阪神大震災の復興には、高速道路の解体、岸壁の破壊などに活躍した。
空気ハンドブレーカは欧米で開発されたものであるが、1957年ブルドーザに取り付けるために大型空気圧ブレーカが日本のNPKによって世界で初めて開発された、IPH-400が起源である(アイ・ピー・エイチ・400=アイヨン)の愛称で親しまれた。今はより効率のよい油圧式が主流になっている。
油圧クラッシャー
「破砕機」、「圧砕機」とも言う、巨大なペンチニッパー。ビル、高速道路などの解体に使われる。鉄筋コンクリート構造物やアスファルトを噛み砕き、鉄筋を切ることも出来る。用途により、「大割り」と「小割り」がある。
リフティングマグネット
強力な電磁石により磁性のあるものを吸い付ける。金属の選別や鉄スクラップの移動に。電磁石の電源は油圧ショベルに内蔵した油圧発電機により得る場合が多い。
グラップル
大きなくちばしのようなようなアタッチメントで、物を掴むことができる。林業の現場、木造家屋の解体廃棄物の分別などに。
油圧カッター
鉄骨切断機とも言う、巨大なハサミ。鉄骨ビル、橋などの建造物の切断・解体や、自動車、鉄道車輌、航空機の解体に。
アタッチメントの操作は床に設置したペダルを使用するものと、作業機の操作レバーにボタンを追加するものがある。但しアタッチメント専用の油圧ホースが装備された機種でないと操作する事ができない。

操作方法

主に運転者の足元から出ている2本のレバーと、両手の近くに配された2本のレバーを用いて操作する。
足元から出ている2本のレバーでクローラを操作するが、運転席を備えた上部旋回体は360度旋回可能なため、上部旋回体の向きによってレバーの操作が逆になるので注意が必要である。多くの場合このレバーに直結されたペダルもあり、このペダルでも同様の操作が可能である。
運転者の両手近くにある2本のレバーで、左右旋回、ブーム上げ下げ、アーム曲げ伸ばし、バケット掘削開放の4つの操作を行う。 2本のレバーはそれぞれ縦に動かしたときと横に動かしたときで違う働きをするので、4つの操作を2本のレバーで行うことができる。 2本のレバーの縦横の動きそれぞれにどの操作を割り当てるかは、かつてはメーカーごとにまちまちであったが、現在ではJISに定められた方式と、俗にコマツレバーと呼ばれる方式の2つにほぼ集約されている。
機種によってはバケット以外の作業装置を装備しているので、それらを操作するためのレバーやペダルが追加されている。
自動車と違ってスロットル(アクセル)を頻繁に操作する必要がないので、スロットルの操作はレバー式、ダイヤル式、速い・普通・遅い・アイドリングのボタン式など、メーカー・機種によってまちまちである。

クローラの操作

クローラの操作は統一されている。片手でも両手でも操作できるよう、運転席の前方中心部に2本隣合わせに配置される。中型以上の機種では足もとのペダルと連動し、ペダルでの操作も可能。
  • 両方のレバーを同時に前へ倒せば前進する。
  • 両方のレバーを後ろへ倒せば後退する。
  • 片方のレバーだけを操作すれば旋回する。
  • 片方のレバーを小さく、もう片方のレバーを大きく倒せばカーブしながら前進する。
  • 両方のレバーを互い違いに操作すれば超信地旋回する。
左クローラ前進 右クローラ前進
      ↑ ↑
      ○ ○
      ↓ ↓
左クローラ後退 右クローラ後退

作業装置の操作

現在ではメーカー出荷時の操作方法はJIS方式に統一されているが、作業現場では他の方式に変更されていることも多い。

JIS方式

標準操作方式、ISOパターン、横旋回とも呼ばれる。バケットを横へ動かすときは横に、縦に動かすときは縦に左レバーを操作するという直感的で分かりやすい操作方法である。コマツパターンが普及してる地域によっては「横旋回」とも言う。
     アーム伸ばし         ブーム下げ
       ↑              ↑
    左旋回←○→右旋回    バケット掘削←○→バケット開放
       ↓              ↓
     アーム曲げ          ブーム上げ

コマツパターン

JIS方式と比べて、右レバーは同じだが、左レバーの上下と左右が逆転している。「縦旋回」とも。JIS方式と人気を二分している。分かりやすさではJIS方式に劣るが、小刻みに操作することの多いアームを操作しやすい横のレバー操作で操るので慣れた後の作業性は高い。例えばバケットに付いた土砂を振るい落とす動きを例に取ると、コマツパターンでは左右のレバーを内側に寄せたり外側に倒したりを繰り返せばよいが、JIS方式では左右非対称の操作になってしまい行いにくい。
      右旋回           ブーム下げ
       ↑              ↑
 アーム伸ばし←○→アーム曲げ   バケット掘削←○→バケット開放
       ↓              ↓
      左旋回           ブーム上げ

三菱パターン

他の方式と違って右レバーで旋回するので特に注意が必要である。
     ブーム下げ          アーム曲げ
       ↑              ↑
 バケット開放←○→バケット掘削       左旋回←○→右旋回
       ↓              ↓
     ブーム上げ            アーム伸ばし

旧ヤンマーパターン

JIS方式に近いが、左レバーの上下が逆転している。現在では見かけることは稀である。
     アーム曲げ          ブーム下げ
       ↑              ↑
    左旋回←○→右旋回      バケット掘削←○→バケット開放
       ↓              ↓
     アーム伸ばし         ブーム上げ

操縦者

油圧ショベルを公道で運転する場合には大型特殊免許が必要である。油圧ショベルを用いて作業を行う場合、これとは別に労働安全衛生法に基づく車両系建設機械(整地・運搬・積込・掘削用)を取得する必要がある。

制御方法

油圧ショベルは出力の制御も主に油圧を用いて行っており、以下のような制御の方式が用いられている。 油圧ショベルの制御は基本的に一定の圧力に固定し、各アクチュエーターに必要な流量を供給するようにポンプを制御する。
  • オープンセンタ・ネガティブコントロール制御
  • オープンセンタ・ポジティブコントロール制御
  • クローズドセンタ・ロードセンシング制御
それぞれの制御方法のオープンセンタ、クローズドセンタとは油圧回路を制御する弁の集合体であるコントロールバルブの構造に由来している。 オープンセンタ方式では、センターバイパスと呼ばれる回路が無負荷状態では解放され油圧がタンクに流れ込むのに対し、クローズドセンタ方式では無負荷状態ではセンターバイパスは閉じており油圧はタンクに帰らない。

メーカー

油圧ショベルをテーマとした作品など

関連項目

ゆあつしょへる
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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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