| Section2 = {{Chembox Properties
| Formula = H
2O or HOH
| MolarMass = 18.01528(33) g/mol
| Appearance = 常温で僅かに青緑色を呈す透明の液体
| Density = 1000 kg·m
−3, 液体(4 °C)< 917 kg·m
−3, 固体
| MeltingPt = 0 ℃, 32 °F (273.15
K)
| BoilingPt = 100 °C, 212 °F (373.15 K)
| pKa = 15.74<~35-36
| pKb = 15.74
| Viscosity = 0.001 Pa·s at 20 °C
}}
| Section3 = {{Chembox Structure
| MolShape = 曲線状
| CrystalStruct = 六方晶系
| Dipole = 1.85 D
}}
| Section7 = {{Chembox Hazards
| MainHazards =
水中毒,
水死
| NFPA-H = 0
| NFPA-F = 0
| NFPA-R = 0
}}
| Section8 = {{Chembox Related
| Function =
溶媒
| OtherFunctn =
アセトン<
メタノール
| OtherCpds =
水蒸気<
氷<
重水
}}
}}
水(みず)は、化学的には
化学式 H2O で表される
水素と
酸素の
化合物。
常温
常圧では無味、無臭、ごくわずかに青緑色(一般的には『無色』として扱われるが厳密には誤り)を呈す
透明の
液体である。
地球表面、特に
海洋に豊富に存在する。
生物の生存、日常生活をはじめ、工業や医療などに不可欠であり、
人類にとって最も身近な
物質である。
人体の60%から70%程度が水である。この様に身近である水だが、宇宙全体から見ると液体の水として存在している量は少ない。
固体は
氷、液体は水、
気体は
水蒸気と呼ばれる。温度の高い液体の水を
湯(ゆ)と言い、特に温度の高いものを
熱湯(ねっとう)と言う。理・工学的な分野では
熱水(ねっすい)という語も用いられる。
物理的性質
常温、
大気圧下で僅かに青緑色を呈す透明な
液体。1気圧の
大気圧下での
沸点は約100
°C(より正確には99.9839 °C )、
融点は0 °C (実際には99.9839 °C 以下の
水蒸気も、0 °C 以下の水も存在する)。3.98 °C のとき最も
比重が大きく、
固体は
液体より
比重が小さい(通常気圧において、氷の比重は0.9168 である)。そのため固体である
氷は液体の水に浮き、氷に
圧力をかけると融ける。これは多くの他の
分子とは異なる水の特性であり、水分子間での
水素結合によるものである。液体の状態では 10
−7 (mol/L) (25 °C) が
電離し、
水素イオン(正確には
オキソニウムイオン)と
水酸化物イオンとなっている。一般に無色透明と言われる場合が多いが実際にはこの電離したイオンの関係でごく僅かな青緑色を呈す。
沸点と
融点が100 °C と0 °C というきりのいい数値であるのは、水の性質を基準として
摂氏での温度の目盛りが定義されたためである。また、4 °C のときの1cm
3あたりの
質量を基準に1g(
グラム)を定義したり、1gの水の
温度を1K(1 °C の温度差)上げるのに必要な
熱量を1cal(
カロリー)と定めたりするなど、単位の基準に使われることが多かったが、不純物の存在による不正確さに加え、たとえば 1gを求める場合には、
体積、
圧力、
温度を規定しないと正しい
重量が得られないという本質的な
精度の問題があるため(
キログラムを参照)、近年では一意に求めることができる水の
三重点が1Kの基準となるのを除けば、基準としての役割はほとんどなくなっている。
前述の通り、水は液体の方が固体よりも体積が小さい
異常液体の1種としても知られる。氷が融解して水になると、その体積は約11分の1減少する。詳細については
氷の項も参照。
水は
比熱容量が非常に大きいことでも知られる。
反磁性の性質を示す代表的な物質でもある。強力な磁界に晒された水はそこから逃れるように動くことが知られており、
旧約聖書の逸話にちなみこの現象を「
モーゼ効果」と呼ぶ。
一般的に水は電気絶縁性が低いと言われるこれは雑多な不純物が含まれる通常の水の性質である。純粋な水は電気(電流)を通さない絶縁体である。
亜臨界水・超臨界水
水は22.1MPaの圧力をかけると374 °C (647K) まで液体の状態を保つ。これを亜臨界水という。これ以上の圧力、温度の状態の水を
超臨界水という。その性質は通常の状態と異なり
イオン積が高く通常の水より
水酸化物イオンの濃度が高くなる。また
比誘電率が低い。その性質を利用のため研究されている。
過冷却水
融点(1気圧では
摂氏0度)以下でも凍っていない、
過冷却状態の液体の水のこと。不安定であり、
振動などの物理的ショックにより
結晶化を開始して
氷に
転移する。過冷却水の入っている容器にビー玉などを落とすと、物体が底に着く前に着水点から凍結が広がり、全体がシャーベット状に凍りつく。特別な実験装置などは必要なく、家庭の冷凍庫でも実験可能。
アモルファス氷
非結晶の氷のこと。通常の氷は
結晶であるが、液体からの急冷、結晶氷を加圧、あるいは気相からの
蒸着などの方法により、非結晶の氷が生成される。密度の違う2つの状態が存在し、それぞれ、高密度
アモルファス氷、低密度アモルファス氷という。
化学的性質
水素と酸素の
電気陰性度の違いから、水分子においては酸素原子側が電気的に負となり、水分子の形から
電気双極子を形成している。さらに共有結合に使われていない
孤立電子対が2つ存在する。以上から水の比誘電率は 79.87 (20 °C) と高い。このため
塩化ナトリウムなどのイオン結晶の結合を破壊し、すぐれた溶媒として働く。さらに水素-酸素結合は水素結合を形成しやすく、特に電気陰性度の高く結合に利用できる
電子軌道が余っている原子とは容易に水素結合を作りやすい。したがって、
糖など
イオン性ではない分子に対する
溶媒ともなる。一方、
シクロヘキサンなどの炭化水素はイオン性でなく、水素結合も形成しないため、水には溶解しない。
水の分布
地球上の水
地球上には多くの水が存在しており、
生物の生育や
熱の
循環に重要な役割を持っている。
気象学や
海洋学などの
地球科学、
生態学における大きな要因の一つである。水蒸気は最大の温室効果ガスでもある。
その97%が
海水として存在し、
淡水は残り3%にすぎない。そのほとんどが
氷河や
氷山として存在している。
このなかで、
淡水湖 河川水 地下水浅が、人間が直接に利用可能な水で、総量の1%未満である。
飲料水として利用できるものはさらに少ない。
地球における継続的な水の循環は
水循環と呼ばれている。
太陽エネルギーを主因として、
固相・
液相・
気相間で相互に状態を変化させながら、
蒸発・
降水・地表流・
土壌への浸透などを経て、地球上を絶えず循環している。また、この循環の過程で地球表面の熱の移動や
浸食・運搬・
堆積などの
地形を形成する作用が行われる。
太陽系の水
太陽系の
惑星および
衛星の表面に存在する水のほとんどは
氷または
水蒸気であり、
地球以外で液体の水が存在する場所は少ない。相図からわかるように、液体の水が存在できる温度範囲は高圧ほど広くなる。逆に、火星のように気圧の低い環境では、液体の水は安定に存在することはできない。
火星の表面にはかつて液体の水があったことが判明している。
木星の
衛星エウロパは、内部に液体の水からなる海があるのではないかと言われている。
太陽系外の水
2007年
4月に発見された
太陽系外惑星グリーゼ581cは、その質量と恒星からの距離のため、表面が
地球のように岩山や海に覆われている可能性もある。
生物と水
すべての既知の
生命体にとって、水は不可欠な物質である。
生物体を構成する物質で、最も多くを占めるのが水である。
核や
細胞質で最も多い物質でもあり、細胞内の物質
代謝の媒体としても使用されている。通常、質量にして生物体の70%–80%が水によって占められている。生きている
細胞には(理想的な
溶媒である)水が多く含まれており、生命現象を司る
化学反応の場を提供し、また水そのものが種々の化学反応の
基質となっている。
体液として、体内の物質輸送や分泌物、
粘膜に用いられ、また高分子鎖と
ゲル化することで体を支える構造体や
レンズにも利用されている。
クマムシのように厳しい環境にも耐えられる生物は、体内の水分を放出し、不活性な状態をつくり出すことができる。
なお、
生物は太古の海で誕生したと考えられている。生物の
化学組成と
海水の組成がにていることもその根拠の一つである。従って、水中生活が生物の原始的な姿であると見てよい。
陸上のように、常に水につかっていない環境では、
生物にとって最も重要な問題の一つが水の確保である。陸上の
無脊椎動物では、周囲が湿っていなければ活動できないものも多い。陸上生物に見られる進化的形態の多くが水の確保や自由水のない環境への適応である。
クマムシの場合も、頻繁に乾燥にさらされる環境への適応として、休眠の能力が発達したと考えられている。
特に
人体においては、体重の60%を占める水のうち45%までが、
細胞内に封じ込められた水で、残り15%が、
血液、
リンパ液など細胞の外にある水である。この
細胞内液、
細胞外液をあわせたものを
体液と呼び、この体液が生命の維持、活動に重要な役割を果たす。
一日に排出される水の量は、静かに横たわっている成人男性で2,300mLであり、内訳としては
尿1,200mL、
糞200mL、不感蒸泄900mLである。1日に必要な水の量は当然2,300mLである。一般に、
飲料水から1,200mL、
食物800mL、代謝物300mLとして摂取される。なお、不感蒸泄とは呼気に含まれる水蒸気として体外に吐き出されたり、皮膚表面から感知できない程度に分泌される
汗のことである。
水素結合による利点
水分子間における
水素結合を生物は様々な形で利用し、またその恩恵を受けている。
- 生体に不可欠な構成要素であるタンパク質が必要な立体構造を作る際(フォールディング)に、各アミノ酸同士にはたらく水分子を仲立ちとした水素結合が重要な役割を演ずる。
- 生物環境という立場から見れば、水はその(水素結合に起因する)比熱が大きいことによって温度を安定させる緩衝の意味合いが大きく、恒常性の維持に貢献していると言える。
- 低温の固体が液体より上部にくることは、海や湖沼を完全凍結しにくくし、生物に生存のチャンスを与えている。液体である4 °C の状態で最も密度が大きくなるという性質は水素結合の性質に起因している。
-
汗は非常に効率よく体温を下げる機能をもつ。水の蒸発潜熱が大きいのは水素結合が強いことに起因している。
人体における水の過不足
水の摂取量には適量というものがある。
脱水症
体内の水分量が不足した状態を医学的には
脱水と呼ぶ。水分喪失量に対して水分摂取量が不足することによって起こる。水分摂取不足、あるいは水分喪失過剰、あるいは水分摂取不足と水分喪失過剰の同時進行によって起きる。具体的には、高温の環境、重作業、激しい
運動、
発熱、
下痢、
嘔吐などが原因となって起きる。
水中毒
人体が過剰な水分を投与された場合、
細胞外液の
浸透圧が異常に下がり、
低ナトリウム血症によって悪心、
頭痛、間代性
痙攣、
意識障害等の症状を引き起こす。これを
水中毒と言い、
輸液ミス、心因性多飲、
SIADHなどの結果としてみられる。なお致死量は体重65kgの人で10–30リットル/日である。
人間の生活と水
世界のそれぞれの地域における水の状況は、地域による差が大きく、その地域の
気候を決める重要な要素であり、それによってそこで生活する人間のあり方も大きく異なる。特に
農業の形態は気候に大きく左右され、それはそこに成立する社会の構造をも決定する。
水の供給
だが、現代でも途上国などでは水道が無い国が多く、毎日自力で長距離を歩いて重い水をバケツ等で家まで運ばなければならず、その労働のために学校へ行くことすらままならないという子供たちが多数存在している。
水の使用
グローバルな使用状況
世界の水の使用量は1995年の段階で年間約35,700億m³で、内訳としては、
農業用水が約25,030億m³/年で約7割を占め最大、
工業用水が約7,150億m³/年、生活用水が約3,540億m³/年だった、とも推定されている。水使用量は1950年から1995年までで2.6倍になっているともされ、2025年には30億人以上が水の量と質の限界(水ストレス)に直面する、とも予想されている。
仮想水という指標で水の使用量が計算されている。
家庭での水の使用状況と用途
家庭での水の使用量は、国ごとに著しく異なる。途上国の中には一日一人あたり数リットルという国もある一方で、先進国では一日一人あたり数百リットル、という差がある。日本の家庭の使用量も他の先進諸国と同様、最も高い部類に属する関連資料。
。
日本での使用状況の一例として
東京の家庭でのそれを挙げると、1日で1人あたり242Lの水を使っている(2005年現在、東京都水道局調べ)。家庭での水の使用量のうち、28%が
トイレ、24%が
風呂、23%が
炊事、17%が
洗濯となっている(2002年、東京都水道局調べ)。
その他の水の用途
水と哲学
中国においても、万物は
木・
火・
土・
金・水の5種類の元素から成るという
五行説が唱えられている。
水(氷)の研究史(近代以降の主要なもの)
- 17世紀初頭 ベルギーのファン・ヘルモントは植物成長に関する実験により、水を元素と結論づけた。あらかじめ重量を測定した鉢植えに水だけを与え、4年後に重量を測定すると重量が増加していた。すなわち水元素が木元素に変換したことになる。ヘルモントはガスという用語を作り出している。ビールの発酵、石炭の燃焼、炭酸塩から発生するガスが全て同じものであり、命名もしていたが、彼自身の実験と彼のガスの関係には気づいていなかった。
-
1765年 イギリスのキャベンディッシュ、水を材料に熱の研究を行ない、蒸発熱や潜熱を測定している。
-
1766年 キャベンディッシュ、「人工空気の実験を含む三論文」を発表。第一論文で「可燃性空気」すなわち水素の発見を発表。ただし、水素の燃焼物が何であるかを理解していなかった。
-
1781年 酸素の発見者の一人イギリスのプリーストリーは水素の燃焼物が水であることを見いだし、キャベンディッシュに確認を求める。
-
1784年 キャベンディッシュが「空気に関する諸実験」を発表。水の組成を確認する実験について記述されている。実験には2年を要した。水素と酸素を電気火花によって反応させると大量の反応熱を出すため、生成物にどうしても窒素の酸化物である硝酸が混入してしまうためであった。彼の論文では水素と酸素を可燃性空気と脱フロギストン空気としているものの、水素2容積と酸素1容積から水が生成することを確認している。フロギストンによらない説明を最初に与えたのは酸素という名を命名したラボアジェであった。
-
1785年 ラボアジェが赤熱した鉄管に水を通すと水素が発生することを示し、水素、酸素こそが元素であって、水は化合物であることを最終的に確認した。
-
1791年 イタリアのボルタが酸素と水素が一定の比率で化合する性質を利用し、逆にこれらの気体の分量を測定するユージオメーターを開発した。
-
1800年 ボルタ、化学反応による電流の発生に成功。「ボルタの電堆」と呼ばれる(電池)。
-
1801年 イギリスのウィリアム・ニコルソン、「ボルタの電堆」を用いて、初めて水を電気分解した。陰極に水素が2容積、陽極に酸素が1容積発生することを示した。
-
1920年 この頃までに水素結合の概念が提唱される。
-
1933年 バナールが、水のX線構造解析を行う。
-
1935年 ポーリング、氷の残余エントロピーの理論。
-
1936年 中谷宇吉郎、雪の結晶を人工的に世界で初めて作成する。
-
1958年 アイゲン、水中のプロトン移動に関するモデルを提唱する。
-
1971年 ラーマンにより、水の分子動力学法によるシミュレーションが行われる。
-
1971年 ペイジが、水の中性子による構造解析を行う。
-
1994年 三島修が、 2 つのアモルファス氷の間(低密度⇔高密度)の一次相転移を発見。
-
2005年 R. J. D. Miller らにより、水にレーザーパルス照射で生じさせた構造変化は 50 フェムト秒以内に失われることが報告された。
水と芸術
]]
水は
人類にとって最も身近で重要なものであり、かつ様々な態様を見せることから、水をモチーフとした数々の芸術作品が生み出されている。
水そのものを取り入れたものに庭園における池や
噴水がある。
文学
音楽
別称
-
IUPAC系統名はオキシダン (oxidane) であるがほとんど用いられない。(→記事「水素化物」参照)。ほか、「一酸化二水素」「酸化水素」「水酸」「水酸化水素」といった呼び方をすることも可能である。
- うち、「一酸化二水素」は英訳されて「Dihydrogen Monoxide」(ジハイドロジェン・モノオキサイド)ならびにその略称「DHMO」と言う表現をされる事もある。
- 水をネタに、感情的な環境保護論を揶揄するジョークがある。記事「DHMO」(Dihydrogen Monoxide)を参照。
代表的な慣用句
- 水掛け論 - 田に水がほしい双方が水を掛け合ってまで争うところからきているといわれる
- 湯水のように(ごとく) - 日本ではかつて「水と安全はタダ」など言われ、水は非常に安価または無料の代名詞であったため、躊躇なく使うことを言い,通常は無駄遣いや乱費の表現として用いられる。
-
水商売または、お水 - 飲食業、あるいは風俗業の別称。一日の客数が安定しない(水物)から、もしくは酒の水割り用の水道水に値段を付ける(金を取る)ことから。
- 水に流す - 汚れ物は水に溶かして流れさるに任せるのが古来の流儀である。実際に多くの汚物は水中における自然の浄化作用とその人工的応用である汚水処理によって処理される。
他にも、世間や市場に飛び交うもの(
貨幣や
情報など)を水にたとえて、「
洪水のような」とか「
氾濫する」とかいう表現がされることがある。
参考文献と脚注
関連項目
外部リンク
*