左翼(さよく)・
左派(さは)とは、政治思想・政治勢力を大きく二分した場合における
革新(対義語は
保守)側のことである。
右翼と対立する。
20世紀以降は
市場原理を認める穏健な
社会民主主義から革命を志向する
アナキズム、
社会主義や
共産主義まで、幅広い勢力を指す語として用いられる。社会主義や社会民主主義、共産主義は赤、アナキズムは黒で表されることが多い。
アメリカ合衆国では「左翼」と呼ばれることを避けるため「
リベラル」と呼ぶのが一般的である。日本では、
1996年の総選挙で惨敗した旧
社会党(現
社民党)が失地回復を狙って「リベラル結集」を旗印に掲げた。
語源は
フランス革命第一期の
国民議会で、議長席から見て左側に主に非特権階級である第三身分(商工業者・労働者など)の意思を代弁する
共和派が席を占めた事に由来する。
概説
初期
フランス革命第二期では右翼のフイヤン派が没落し、今まで左翼だった共和派が支配的となる。しかし、政策を巡って再び左右で割り、新しい軸が生まれる。そして右側には穏健派のジロンド派が座り、左側には過激派の
ジャコバン派が座ることとなった。
20世紀
20世紀は専ら大学教員などの
知識人が大衆の左翼運動を指揮し、
欧州や
ロシアでは
マルクス主義が台頭した。また、欧州では同時に穏健派の
社会民主主義も勢力を増大させた。絶対王政が続く
ロシアでの革命は成功したが、
レーニン死後は世界
革命を主張する
トロツキーが失脚させられ、レーニンの後継として一国社会主義を主張する
スターリンが権力を掌握した。スターリンの独裁体制は、政敵や無辜の民に対する
大粛清を行うなど恐怖政治が横行した。
世界的に見た場合
左翼と呼ばれる勢力は、多かれ少なかれ根底に
資本主義と
帝国主義への懐疑があると言われている。世界を経済力・軍事力で支配し、世界の画一化(アメリカ化)の推進と
新自由主義を徹底する
米国に対しては
反米の姿勢かまたは一定の距離を置くのが普通である。もっとも、
イギリス労働党のようにアメリカと同盟しているものもある。また、反米のために稀に
反米保守と連携する左翼も一部ではあった。
急進派
左翼の中でも極端に急進的な変革・
革命を求めるものは
極左と呼ばれるが、
共産党などの伝統的左翼内の急進派と、
トロツキストなどの
新左翼とは考え方が大きく異なり、
アナキストは思想が根本的に異なっている。
日本の左翼
なお日本において左翼政権が誕生したことはないが、例外的に
1947年の
片山内閣(社会・
民主・
国民協同党による連立)、
1994年の
村山内閣(
自民・社会・
さきがけ)の2度において、社会党出身の首班が誕生したことがある。しかしいずれも保守・中道政党との連立であり、社会主義的な政策を満足に行えないまま短命に終わった。
政治思想
日本の旧左翼は積極的に
平和主義を
理想として掲げるものが多いことが特徴であり、その目標の為に
日本国憲法第9条の改正を阻止する
護憲を唱えている。但し、憲法制定後しばらくは
日本共産党などはむしろ九条改正志向だった。旧来は
天皇制にも批判的な場合が多かったが、近年では
天皇制には無関心か、民主化した上で存在を認める左翼が多くなっている。また平和主義についても、
日米安全保障条約や
在日米軍問題を中心に
アメリカ合衆国(米国)の政策に対して批判的な立場に立つことが多く、在日米軍基地や自衛隊基地に対しては関連の市民団体と共にデモやストライキを行うのが恒例となっている。
一方で、旧ソ連や中国、北朝鮮など
共産主義国に対しては、その政治的独裁性には批判的であっても、それらの国々の軍拡を積極的に批判することは少ない。
日本共産党は
文化大革命以降
中国共産党とは長らく断交関係にあったが、1998年以降和解している。
これに対して
新左翼の多くは、
反スターリン主義の立場から、ソ連派の
民学同などを除いて、ソ連など独裁的な共産主義国に対しては「スターリン主義」であるとして、資本主義の大本山
アメリカに対するのと同様に否定的であった。ただし同じ独裁的な共産主義国である中国に対しては、
毛沢東主義の影響を受けた党派(
日本共産党 (左派)、
共産同ML派、
日本労働党など)をはじめとして肯定的な党派が多かった。また新左翼の多くは反戦平和主義ではなく戦闘的左翼を主張した。そのため、同じ反旧左翼・
反米勢力として
天皇主義を掲げる
新右翼・
民族派との共闘も見られた。護憲派ではなく革命的改憲派でもある。
歴史認識
そうした歴史認識から戦後は「日本のアジア諸国への謝罪は不十分である」とし、「国家間賠償は解決済みであっても個人賠償が未解決」とし、近年活発な日本政府に対する靖国問題や慰安婦問題などの個人的な賠償訴訟を提起、あるいは支援している。
日本独自の特徴
左翼の傾向を持つ者には、アメリカや親米派によるグローバリズムや
新自由主義に対抗して農業や伝統文化を保護しようとする運動をする者が多いのは世界的な傾向であるが、日本ではその保護運動に積極的に参加する保守派も多いと言われる。
また、日本の場合は戦後、
自民党の中でも
社会民主主義に比較的近い経済左派の
保守本流政権が長く続いており、また学術・学会の傾向として経済学の一派に
マルクス経済学が相応の研究領域を占め定着していた経緯があり、また、近年の
新保守主義・新自由主義に反発する保守層の一部には共通の敵を持つ左派と提携する者もいる。
最近では
反米保守主義者からも先述の歴史認識などを別にすれば、新自由主義を押し進める
ネオコンの
親米保守と呼ばれる者たちよりも(経済面では)保守的であると一面評価する声も上がっている。
日本国外
脚注
関連項目
さよく