概要
日産のV6エンジンは以前から
VG型・
VE型があったが、それらに代わる新世代エンジンとして、
1994年より生産を開始した。2007年現在でも日産車の中級・上級ラインナップにおける主力エンジンとなっている。また、現在では、一部が事実上の親会社ルノーの上級車種にも使われている。
単に性能が優れているだけでなく、良好な生産性と広い汎用性をも兼ね備えた完成度の高いエンジンで、量産型エンジンとしての大きな成功を収めてきた。評価の一例であるが、アメリカのWard's AutoWorld magazine社が毎年選出する
10 best engineには、14年連続で選出されている。この記録は選出回数、連続記録ともに世界一の快挙である。
最初に搭載された車種は2代目
セフィーロで、それ以降日産の上級車種に採用されているほか、現在では
RB系エンジンの後継も兼ねる形となっている。2,000ccから4,000ccまでの幅広いラインナップを用意し、全タイプ
DOHC仕様。通常型
インジェクション仕様のほか、
直噴仕様(NEO-Di)の設定もある。前者は日産のエンジン型式ルールにより「E」、後者は「D」がつく。基本的にプレミアムガソリン仕様であるが、3代目セフィーロ最終型(2001年以降)のVQ20DEと、VQ23DE、
エルグランド、2代目
ティアナに搭載されているVQ25DEは中級車の下位レンジに搭載されるという事情から、経済性を配慮してレギュラーガソリン仕様となっている。
なお、12代目
スカイラインに搭載するにあたって設計を改めたものは「VQHRエンジン」として区別される。
バリエーション
VQエンジン
VQ20DE
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ
- 排気量:1.995L
- ボア×ストローク:76.0×73.3
- 圧縮比:9.5 - 10.0
- 出力・トルク
- (1) 114kW (155PS) /6,400rpm 186N·m (19.0kg·m) /4,400rpm
- (2) 117kW (160PS) /6,400rpm 196N·m (20.0kg·m) /4,400rpm
- (3) 110kW (150PS) /6,400rpm 186N·m (19.0kg·m) /4,400rpm
- 主な搭載車種
- 1994 - 2002 日産・セフィーロ A32、A33
- 1995 - 1999 Nissan QX(セフィーロの輸出名) A32
VQ20DEは、セフィーロのみに搭載され、販売比率の多くを占めた。1994年デビューの2代目では当時のライバル
トヨタ・マークIIを凌ぐ(1)の出力・トルクを発揮。1998年登場の3代目では、燃費性能の向上を狙い、リーンバーン化し、出力・トルクも(2)となったが、2001年の改良後の最終型では排ガス規制に対応するため、リーンバーンをやめ、経済性を重視したレギュラーガソリン仕様となり、出力・トルクは(3)となった。
VQ23DE
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量:2.349L
- ボア×ストローク:85.0×69.0
- 圧縮比:9.8
- 出力・トルク
- (1) 127kW (173PS) /6,000rpm 225N·m (22.9kg·m) /4,400rpm
- 主な搭載車種
2003年より2008年までティアナのみに搭載されていたエンジン。もともと同車はローレルとセフィーロの統合車種として誕生した経緯から、メインの2.5Lだけではなく、販売の多くを占めていた2.0Lユーザーも無視できない観点から、2.0Lと2.5Lの中間的な排気量とし、経済性の高いレギュラーガソリン仕様とすることで、2.0Lと2.5Lユーザーの双方を囲い込むことを狙った。
VQ25DE
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量:2.495L
- ボア×ストローク:85.0×73.3
- 圧縮比:9.8 - 10.3
- 出力・トルク
- (1) 140kW (190PS) /6,400rpm 235N·m (24.0kg·m) /4,000rpm
- (2) 154kW (210PS) /6,400rpm 265N·m (27.0kg·m) /4,400rpm
- (3) 136kW (186PS) /6,000rpm 232N·m (23.7kg·m) /3,200rpm
- (4) 136kW (185PS) /6,000rpm 232N·m (23.7kg·m) /4,400rpm
- 主な搭載車種
1994年に2代目セフィーロに初搭載。当時の出力・トルクは (1) であった。このエンジンはその後、セドリック、グロリア、レパードなどのFR系にも同スペックのものが搭載されていたが、直噴仕様の登場により、1999年以降一時的に姿を消す。しかし、直噴+リーンバーン化はカタログ数値の燃費は良くなるが、実用面では低回転域のトルクが細い傾向にあり、結果的に燃費はそれほど向上せず、また厳しくなる排ガス規制に適合させるのも多額の費用がかかるため、2004年より再度このエンジンが起用されている。フーガで復活搭載した際の出力・トルクは (2) となっているが、エルグランドに搭載されているものは、ライバルの
トヨタ・アルファード2.4Lの好調な販売に押され追加したもので、経済性を重視したレギュラーガソリン仕様としているため、出力・トルクは (3) となっている。FF車用はJ32ティアナで10年ぶりに復活し、出力・トルクは (4) となっている。
VQ25DD
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC (NEO-Di)
- 排気量:2.495L
- ボア×ストローク:85.0×73.3
- 圧縮比:11.0 - 11.3
- 出力・トルク
- (1) 154kW (210PS) /6,400rpm 265N·m (27.0kg·m) /4,400rpm
- (2) 158kW (215PS) /6,400rpm 270N·m (27.5kg·m) /4,400rpm
- 主な搭載車種
- 1999 - 2002 日産・セフィーロ A33 (JDM)
- 1999 - 2004 日産・セドリック、グロリア Y34
- 2001 - 2006 日産・スカイライン V35
- 2001 - 2007 日産・ステージア M35
VQ25DDは、1998年登場の3代目セフィーロで初登場。当時の直噴エンジン流行の流れに乗り、高出力・低燃費を売りにデビューした。出力・トルクは (1) であったが、2001にデビューしたV35スカイライン、M35ステージアには、(2) の出力・トルクを発揮する仕様を設定している。
VQ25DET
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC インタークーラーターボ
- 排気量:2.495L
- ボア×ストローク:85.0×73.3
- 圧縮比:8.5
- 出力・トルク
- 206kW (280PS) /6,400rpm 406N·m (41.5kg·m) /3,200rpm
- 主な搭載車種
2001年登場の2代目ステージアでデビューを果たした2.5Lのターボ仕様。近年では珍しく急激に加給が始まる、いわゆる「ドッカンターボ」型。ただ、搭載車種が1車種だけだったため台数が出なかったことや、先述のターボの性格による良好とは言い難い燃費や、
排ガス規制等といった環境性能に気を遣う時代の趨勢などにより、わずか3年間でカタログ落ちしてしまった。
VQ30DE
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ
- 排気量:2.987L
- ボア×ストローク:93.0×73.3
- 圧縮比:10.0
- 出力・トルク
- (1) 162kW (220PS) /6,400rpm 280N·m (28.5kg·m) /4,400rpm
- (2) 142kW (193PS)
- (3) 166kW (226PS)
- 主な搭載車種
-
日産・セドリック Y33
-
日産・グロリア Y33
- 1994 - 1998 日産・セフィーロ A32
- 1995 - 1999 日産・QX(セフィーロの輸出名) A32
- 1995 - 1999 日産・マキシマ (2)
- 1996 - 1999 インフィニティ・I30 (2)
- 2000 - 2001 日産・マキシマ (3)
- 2000 - 2001 インフィニティ・I30 (3)
- 1998 - 2002 日産・バサラ
- 1998 - 2002 日産・プレサージュ
-
日産・レパード JY33
1994年にセフィーロで初登場したVQ30DEは多くの車種に搭載された。しかし、直噴仕様の登場や徐々に3.5Lへ移行していったために出力・トルクは(1)のまま、最終型のプレサージュ、バサラ(2002年)まで変更はなかった。
VQ30DD
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC (NEO-Di)
- 排気量:2.987L
- ボア×ストローク:93.0×73.3
- 圧縮比:11.0
- 出力・トルク
- (1) 169kW (230PS) /6,400rpm 294N·m (30.0kg·m) /4,000rpm(非eVTC)
- (2) 177kW (240PS) /6,400rpm 309N·m (31.5kg·m) /3,600rpm
- (3) 191kW (260PS) /6,400rpm 324N·m (33.0kg·m) /4,800rpm
- 主な搭載車種
1997年に日産初の直噴エンジンとしてY33レパードに初搭載。その時の出力・トルクは (1) であったが、その後、セドリック、グロリアに搭載されたときには (2) に向上。2001年に登場したV35スカイラインでは、さらにパワーアップされ、(3) の出力・トルクを発揮するに至り、国内最強のスペックを誇った。現在は
排気ガス規制等の関係で3.5Lに移行し、生産は終了している。
VQ30DET
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ インタークーラーターボ
- 排気量:2.987L
- ボア×ストローク:93.0×73.3
- 圧縮比:9.0
- 出力・トルク
- (1) 199kW (270PS) /6,000rpm 368N·m (37.5kg·m) /3,600rpm
- (2) 206kW (280PS) /6,000rpm 387N·m (39.5kg·m) /3,600rpm
- 主な搭載車種
VQ30DEをベースに、インタークーラーターボチャージャーを採用したエンジン。大排気量エンジンを思わせるセッティングにより、ターボは意外にもマイルドな印象。VQ25DETに比べると、かなり紳士的なターボエンジンといえる。Y33系のセドリック、グロリアで登場。当時の出力・トルクは (1) だったが、Y34系で (2) に向上した。シーマに搭載されていたが、
平成17年排出ガス規制に適合しないため生産を終了。最後まで生産されたターボ仕様である。
VQ35DE
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量:3.498L
- ボア×ストローク:95.5×81.4
- 圧縮比:10.0 - 10.3
- 出力・トルク
- 国内仕様
- (1) 177kW (240PS) /6,000rpm 353N·m (36.0kg·m) /3,200rpm
- (2) 200kW (272PS) /6,000rpm 353N·m (36.0kg·m) /4,800rpm
- (3) 206kW (280PS) /6,200rpm 363N·m (37.0kg·m) /4,800rpm
- (4) 216kW (294PS) /6,400rpm 350N·m (35.7kg·m) /4,800rpm
- (5) 170kW (231PS) /5,600rpm 333N·m (34.0kg·m) /2,800rpm
- (6) 185kW (252PS) /6,000rpm 335N·m (34.2kg·m) /4,400rpm
- (7) 200kW (272PS)
- (8) 232kW (315PS)
- (9) 191kW (260PS)
- 海外仕様
- 275PS/6,200rpm 37.0kg·m/4,800rpm
- 主な搭載車種
2000年にエルグランドに初搭載された3.5Lエンジン。大排気量らしい豊かなトルクと、素性のよさで定評があり、日産の中心的なエンジンとして国内外の幅広い車種に採用されている。ただ、日本国内においては3.5Lという排気量は大きく、3.0Lの復活を望む声も聞かれる。出力・トルクは (1) がエルグランド、高規格救急車のもの。(2) がスカイライン、ステージアに搭載されているもの、(3) がスカイラインクーペ、フーガ、フェアレディZ (5AT) に搭載されているもの、(4) がフェアレディZ (6MT) 専用、(5) がFF向けでティアナ(現行型は (6) )、ムラーノ(現行型は (9) )、プレサージュに搭載されているものである。
VQ40DE
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ CVTC
- 排気量:3.954L
- ボア×ストローク:95.5×92.0
- 圧縮比:9.7
- 出力・トルク
- (1) 201kW (273PS) /5,600rpm 395N·m (40.3kg·m) /4,000rpm
- 主な搭載車種
- 2005 - 日産・フロンティア
- 2005 - 日産・パスファインダー
- 2009 - スズキ・イクエーター
北米向けの大型SUVに搭載されるVQエンジン最大の排気量を持つエンジン。日本国内では搭載車種は販売されていない。
VQ30DETT
レース用エンジン
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ インタークーラーツインターボ
- 排気量:2.987L
- ボア×ストローク:93.0×73.3
2002年度
全日本GT選手権(現在の
SUPER GT)にて当時GT500に参戦中のスカイラインGT-Rを車両全体をより低重心にさせ、運動性能の上昇を図る為、ベースとなるエンジンのVQ30DEを改良し、競技用エンジンとして中盤に投入された。それ以降2007年第2戦までGT500にてVQ30DETTが使用された。
VQHRエンジン
VQ25HR
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC
- 排気量:2.495L
- ボア×ストローク:85.0×73.3
- 圧縮比:10.3
- 出力・トルク
- (1) 165kW (225PS) /6,800rpm 263N·m (26.8kg·m) /4,800rpm
- (2) 164kW (223PS) /6,800rpm 263N·m (26.8kg·m) /4,800rpm
- 主な搭載車種
VQ35HR
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC
- 排気量:3.498L
- ボア×ストローク:95.5×81.4
- 圧縮比:10.6
- 出力・トルク
- (1) 232kW (315PS) /6,800rpm 358N·m(36.5kg·m) /4,800rpm
- (2) 230kW (313PS) /6,800rpm 358N·m(36.5kg·m) /4,800rpm
- (3) 306PS
- (4) 297PS
- (5) 303PS
- 主な搭載車種
- 2006 - 2008 日産・スカイライン V36
- 2006 - インフィニティ・G35セダン (3)
- 2007 - 日産・フェアレディZ
- 2007 - 日産・フーガ
- 2007 - インフィニティ・EX35 (4)
- 2008 - インフィニティ・FX35 (5)
- 2008 - インフィニティ・M35 (5)
2006年にデビューのV36スカイラインでデビューした新世代VQエンジン。VQ型と名乗っているものの、ブロックデッキの高さを延長する等の変更がなされており80%以上を新設計した事実上の新開発エンジンであり、「HR」とはハイレスポンス、ハイレボリューションを意味する。これまでのVQ35DEでは高回転域で吸気が追いつかなくなる欠点の見直しと、ブロックデッキ寸法の変更で
コンロッドを長くし、
連桿比の改善によりピストン横圧の低減を図った。従来型比で1,200回転のレブリミットの引き上げとなり、高回転まで胸のすくふけ上がりを実現した。出力・トルクだけでなく、環境性能や燃費性能も大幅に向上している。なお,出力・トルクは (1) がV36 スカイラインのもの。(2) がフェアレディZ、フーガに搭載されているものである。
VQ37VHR
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC VVEL
- 排気量:3.696L
- ボア×ストローク:95.5×86.0
- 圧縮比:10.6
- 出力・トルク
- (1) 245kW (333PS) /7,000rpm 363N·m (37.0kg·m) /5,200rpm
- (2) 243kW (330PS) /7,000rpm 361N·m (36.8kg·m) /5,200rpm
- (3) 247kW (336PS) /7,000rpm 365N·m (37.2kg·m) /5,200rpm
- (4) 320PS
- (5) 328PS
- 主な搭載車種
- 2007 - 日産・スカイラインクーペ V36 (1)
- 2008 - 日産・フェアレディZ Z34 (3)
- 2008 - 日産・スカイラインセダン V36 (2)
- 2007 - インフィニティ・G37クーペ(北米 (2) / 欧州 (4) )
- 2008 - インフィニティ・G37セダン(北米 (5) / 欧州 (4) )
- 2008 - インフィニティ・EX37 (4)
- 2008 - インフィニティ・FX37 (4)
VQ35HR(3.8L改仕様)
- タイプ:V型6気筒 DOHC 24バルブ eVTC
- 排気量:3.798L
- ボア×ストローク:95.5×88.4
- 圧縮比:12.4
- 出力・トルク(国内仕様)
- 257kW (350PS) /7,200rpm 397N·m (40.5kg·m) /4,800rpm
- 主な搭載車種
- 2007 - 日産・フェアレディZ Version NISMO Type 380RS
関連項目
外部リンク
につさんVQえんしん
VQえんしん