概要
日本製乗用車にSOHC・DOHC動弁機構が導入され始めた初期に出現した、チェーン駆動カムシャフトの、カウンター(ターン)フローSOHC直列エンジンである。
初搭載は
1965年の130型セドリック(L20)であり、当初は6気筒ながら4ベアリングというやや旧弊なスペックだったが、ほどなく7ベアリングに変更されている。直列6気筒に続いてコンポーネンツを共用する4気筒5ベアリング型も登場し、1960年代末期には、1300cc級から2400cc級に至るまで広くカバーする汎用性によって、日産製乗用車エンジンの主力となった。特に直列6気筒モデルのシリーズは、決定的な後継エンジンがなかったという事情もあり、1980年代まで20年に渡る製品寿命を保ち続けた長寿エンジンとしても知られる。
競合メーカーで動弁形式を問わずクロスフロー型エンジンが頻出する中、敢えて一貫してターンフロー型のレイアウトを踏襲し続けた。その構造上、本来の性格は高回転向けでなく、決して軽快なエンジンとは言い難かったが、実用エンジンとしては扱いやすい特性であるうえ、鋳鉄製の頑丈なブロックをベースとする構造は、手荒い酷使や強引なチューニング、著しい排気量拡大にも耐えうるタフネスぶりで、ユーザーやチューナーからの強い支持を得た。
6気筒モデルの最大のライバルは、同時期に登場した
トヨタ・M型エンジンであった。こちらはクロスフローSOHCが基本で、途中
DOHCも設定されたが、L型エンジンは市販車用エンジンとしては最後までカウンターフローSOHCだった(SOHC以外のL型については後述)。
バリエーション
排気量はバリエーション中の数値が大体の排気量を示している。具体的には以下の通り。
4気筒モデル
- L13→1300cc (1.296L 内径×行程:83.0×59.9)
- L14→1400cc (1.428L 内径×行程:83.0×66.0)
- L16→1600cc (1.595L 内径×行程:83.0×73.7)
- L18→1800cc (1.770L 内径×行程:85.0×78.0)
- LD20→2000cc (ディーゼル 1.952L)
- LD20-II→2000cc (ディーゼル 1.952L)
6気筒モデル
- L20→2000cc (1.998L 内径×行程:78.0×69.7)
- L24→2400cc (2.393L 内径×行程:83.0×73.7)
- L26→2600cc (2.565L 内径×行程:83.0×79.0)
- L28→2800cc (2.753L 内径×行程:86.0×79.0)
- LD28→2800cc (ディーゼル 2.792L 内径×行程:84.5×83.0)
4気筒シリーズ
L13
1296cc
L14
1428cc
- 搭載車種
- ブルーバード(510)
- サニー・エクセレント(PB110、PB210)
- バイオレット(710)
L16
1595cc
- 搭載車種
- ブルーバード(510、610、810)
- バイオレット(710、A10)
- サニー・エクセレント(B210)
- オースター(A10)
- スタンザ(A10)
- スカイライン(C110、C210)
L16E
- 搭載車種
- バイオレット(710、A10)
- オースター(A10)
- スタンザ(A10)
L16P
L18
1770cc
- 搭載車種
- ブルーバード(510、610、810)
- ローレル(C130、C230)
- スカイライン(PC110、PC210)
- シルビア(S10)
L18E
L18のインジェクション仕様
- 搭載車種
- ブルーバード(610、810)
- シルビア(S10)
- スカイライン(C210)
L18P
L20B
排気量2リッター4気筒の輸出仕様。
- 搭載車種
- ダットサンニュー510(A10)
- ダットサン910
- ダットサンSX(S10)
6気筒シリーズ
L20
1998cc
- 搭載車種
- セドリック/グロリア(130(セドリック)、A30(グロリア)、230、330、430)
- スカイライン(GC10、GC110、GC210)
- ブルーバード(G610、G810)
- ローレル(HC130、HC230、C31)
- フェアレディZ(S30)
L20E
L20のインジェクション仕様
- 搭載車種
- セドリック/グロリア(330、430)
- スカイライン(GC110、GC210、R30)
- ローレル(C130、C230、C31)
- ブルーバード(G610、G810)
- フェアレディZ(S30、S130)
- レパード(F30)
L20ET
L20Eのターボ仕様 ※日本初のターボエンジン
- 搭載車種
- セドリック/グロリア(430) ※1979年12月搭載
- スカイライン(C210、R30) ※1980年4月搭載
- ローレル(C31) ※1980年11月搭載
- レパード(F30) ※1981年7月搭載
- フェアレディZ(S130) ※1982年10月搭載
L20P
L24
2393cc
スペック:150ps/5000rpm 21.0kgm/4800rpm
L24E
L24のインジェクション仕様
L26
2565cc
140ps
- 搭載車種
- ダットサン260Z
- ローレル(C130)
- セドリック/グロリア(230)
L28
2753cc
L28E
L28のインジェクション仕様
- 搭載車種
- フェアレディZ(S130)
- セドリック/グロリア(430)
- レパード(F30)
- ローレル(C31)
L28ET
L28Eのターボ仕様
LD28
- 搭載車種
- セドリック/グロリア(430、Y30前期)
- ローレル(C31、C32前期)
- スカイライン(C210、R30)
- ダットサン910(G910)
LD28T
LD28のターボ仕様
特記事項
- 通常の市販車としては、4気筒・6気筒共にカウンターフローのSOHCエンジンであるが、レーシングオプションとしてLYヘッド(クロスフロー)やLZヘッド(DOHC)も存在する。これらは、原則ワークスマシーンのみにパーツ供給されていたが、「大森スポーツコーナー」(現・NISMO)で一部のユーザーにも販売されていた。
- L14搭載車は、50年排ガス規制(A-)まで対応し消滅。L16/18は、51年排ガス規制(C-)まで対応し、53年排ガス規制(E-)では、L16を搭載していたB110/B210型サニー・エクセレントシリーズがベースモデルのサニーがB310型へのモデルチェンジしたのを期にモデル廃止された。他のL16/18はそれぞれ急速燃焼方式(ツインスパークプラグ)を採用する直列4気筒OHCのZ16型/Z18型エンジンに変更された。
- 燃料供給方法は、2バレルのシングルキャブレターが基本となる。スポーツ仕様にはSUツインキャブで対応していたが、昭和51年排出ガス規制に適合できず、その後は電子制御インジェクション(EGI)へ移行した。パワーアップのためのモディファイに関しては、キャブレターをSUツインからソレックスのツイン(4気筒)もしくはトリプル(6気筒)に交換することが広く知られており、現代でもこの手法はよく用いられている。
- 排気量2リッターには4気筒の『L20B』というエンジンが存在する。このエンジンは、510型ブルーバードの輸出仕様に設定され、後に日産が1978年~1980年のWRCにA10型バイオレットで挑戦してグループ2カテゴリーで輝かしい成績を残している。さらに1981年~1982年のシーズンは16バルブDOHC化と若干の排気量アップ(2039cc)を行った『LZ20B』を搭載したPA10型バイオレットでグループ4カテゴリーにエントリーし、1979年~1982年のサファリラリーで当時日産ワークスに所属した故シェカー・メッタ(Shekhar Mehta)が4大会連続総合優勝という快挙を成し遂げ、WRC史上初の同一ドライバーで同一イベント4連覇という記録を打ち立てた。
- LZ20Bエンジンは、ラリーのみならず当時流行したシルエットフォーミュラ(グループ5)でも日産系マシーンの主力エンジンとして使用される。これには、エアリサーチ製T05Bターボチャージャー、およびルーカス製メカニカルインジェクションシステムで武装し570ps/7600rpm、55kgm/6400rpmのスペックを叩き出すまでチューニングされていた。
- LZ20Bエンジンはその後、2400ccの『LZ24B』(グリーンヘッド)へと進化を遂げ、S110型シルビアのグループ4マシンに搭載されて数戦のWRCに実戦投入された。その後、グループBマシンの240RSの登場と共に、240RSに搭載された『FJ24』に競技用エンジンの道を譲った。
- 4気筒・6気筒共に日産特有の部品共用が多く(L24はL16に2気筒プラスという考え方でボア×ストロークは一致する)、1960年代~1980年代と長期に渡り製造されていたことによる個体数の多さも手伝って、現代でもチューニングパーツが豊富に流通している。また、エンジンブロックが頑丈であるために6気筒は最大3~3.1リッター程度までの排気量アップが可能と言われており、そのためのチューニングキットも多く、L型エンジン搭載のスカイラインやフェアレディZをレストアする際に構造変更を同時に行い排気量アップ(3ナンバー化)でチューンドカーにしているユーザーも多数見受けられる。
- シリーズの中心であるL20型と後継機のRB20とはボアXストロークが同一である。これはRB開発着手当時、日産はV型6気筒のVG型開発に多額の資金を投じており、L型の生産ラインを活かしつつ新たな直列6気筒エンジンを開発しなければならない懐事情があったためと言われる。しかしながら、VG20系とボア×ストロークは同一である事から、コスト面や生産面での妥協もあると思われる。
- OS技研が独自でDOHCヘッドを開発・販売した事もある(TC24-B1)が、改造車検取得の高難易度と値段が相まって、現存しているヘッドはL20・L28用併せて10機無いと言われている。
関連項目
につさんLかた
Lかたえんしん
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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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