地層処分 [被リンク数: 10]

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地層処分(ちそうしょぶん)とは、原子力発電所から発生する使用済み燃料の再処理の際に発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分方法の一つである。放射性物質の濃度が高く、半減期の長い放射性物質を含むため、人が触れるおそれのない深部地下にこれを埋設すること。高レベル放射性廃棄物はガラスによって固化されており、30年から50年の中間貯蔵を経た後に、オーバーパックと呼ばれる金属などの容器に封入され地下深部に埋設される計画である。地層処分の安全性を確保するため、人工バリアと天然バリアと呼ばれる多重バリアの概念が用いられている。

人工バリア

放射性物質を人間環境から隔離するために設けられる障壁のうち、最も内側にある機能。放射性廃棄物を固化したガラス固化体、これを収納したオーバーパックと呼ばれる容器およびその周りに設置された緩衝材を指す。オーバーパックによる放射性物質の閉じ込め期間は、1,000年以上とされている。

天然バリア

放射性物質を人間環境から隔離するために設けられる障壁のうち、人工バリアに次ぐ機能で、処分先を選定するだけのもの。人工バリアが劣化し、地質と放射性物質が混食した場合に障壁となる物で、扱い上は「処分地層」「一般地層」「人間環境」に分類される。天然バリアには、放射性廃棄物を保持するだけでなく、希釈分散という機能を有し、万一の漏洩にも危険を低減することが可能である。

外来要素

地層処分において最も外側にある機能であり、地球環境を指す。深地層であっても地殻変動による隆起によって、処分地層の深度が大きく損なわれる可能性がある。故に、地球環境の変化を視野に入れたとき、変化が放射性物質の保管に悪影響を及ぼさない事が、外来要素として処分地層選定の条件に加えられる。地質、水質を始め、構造運動と地震、自然的特徴、資源の可能性など、あらゆる項目が考慮される。

処分地の管理

地層処分地は一定期間を立体的保護区として監視し、特定行為の制限などの対策を講じる。時間の経過に従い管理の度合いを段階的に排除し、最終的には人間の管理から離れることになる。

日本の研究施設

地層処分の研究開発は、1976年より実施されている。1992年に動力炉・核燃料開発事業団(現:日本原子力研究開発機構)が日本における地層処分の技術的可能性を示した。地層処分の技術的な信頼性を高めるために茨城県東海村に地層処分基盤研究施設(放射性同位元素を使用しない施設)における研究開発を1993年より実施した。さらに、地層処分放射化学研究施設(放射性同位元素を使用可能な施設)を建設・開設した。両施設における研究成果をとりまとめ、核燃料サイクル開発機構(現:日本原子力研究開発機構)は1999年に地層処分の技術的信頼性を示した。この成果を受けて実際の日本の地下深部に関わる研究を実施するため、2001年に幌延深地層研究センター(北海道幌延町)を、2002年に瑞浪超深地層研究所(岐阜県瑞浪市)の建設に着工し、地層処分の研究開発が実施されている。

処分場候補地

日本

2002年より、原子力発電環境整備機構が地層処分を行う場所を公募開始。2028年までに調査を終えて処分地を決定、2038年までに処分を開始するタイムスケジュールとなっている。
処分場の設置に当たっては、関連施設の誘致などが見込まれ、疲弊した地方の自治体には興味を示すところは少なくないとされる。ただし、誘致を表面させた場合、周辺自治体等からの猛反発は避けられず、水面下での検討を余儀なくされている。
地層処分に関して自治体への援助は、その地域の「文献調査」(過去の地震等の調査)の実施に対して年間2億1,000万円が交付される。また「概要調査地区」(地層の実際の調査)では年間20億円の電源立地交付金が給付される。地方交付税の大幅削減の状況下で財政再建に苦しむ自治体ではこの交付金目的で調査に応じる場合も予想されている。
滋賀県 余呉町
2005年に首長が、町の財政再建のため、受け入れの検討を表明。町の一般会計予算の規模は20数億円/年間であり、電源立地交付金はその全予算に匹敵する。しかし近畿一円の水源の琵琶湖に隣接する余呉町への放射性廃棄物移入は安全性リスクが高く、県が反対し町は一時誘致を撤回。
2006年9月、町は再度誘致を表明。しかし同年12月、町民の理解も得られず誘致断念。
高知県 東洋町
2006年に調査候補地に応募。しかし住民の理解が得られていないとして応募差戻しとされた。
2007年に再度調査候補地に応募。
鹿児島県 宇検村
2006年、村は誘致検討の報道。しかし県は誘致に否定的。

海外

  • ユッカマウンテン(Yucca Mountain)(ネバダ州アメリカ合衆国)2008年3月、米エネルギー省が、米原子力規制委員会(NRC)に建築認可を申請。建設予定地は、ラスベガスの北西約140キロの砂漠地帯。当初は1998年に操業開始の計画だったが、地元の強い反対などで大幅に遅れ、2002年に建設地が正式決定された。NRCは予備審査を経て、3年以上かけて正式審査に入る。廃棄物の受け入れを始めるのは早くても2020年ごろになる見込み。ただし、民主党上院議員(次期大統領)のバラク・オバマは建設に反対している。許可申請に至ったのは世界初
  • オルキルオト(Olkiluoto)(フィンランド)最終処分地として世界で初めて原則決定
  • オスカーシャムン(Oskarshamn)、エストハンマル(スウェーデン)でサイト調査中

関連項目

参考文献

  • 島崎英彦・吉田鎮男・新藤静夫編 『放射性廃棄物と地質科学 - 地層処分の現状と課題』 東京大学出版会1996年、ISBN 978-4130667029

外部リンク

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出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
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