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医学(いがく)は、生体の構造や生理機能についての探求や、疾病の性状、原因について調査し、その診断、治療、
検査、
予防等についての研究診療を行う
学問である。
語源
それまでの
伝統中国医学は、単に「医」または「医方」と呼ばれ、勘と経験に頼る部分が非常に大きかったが、この頃になると、
鍼灸だけでなく、
漢方薬においても、中国の根本的な
理論である
陰陽五行思想や、
経絡理論などの
理で固めた理論的・
学問的な色彩が強くなり、それを強調するために、あえて「醫學」という言葉が流行するに至った。
歴史
日本では、西洋的な思考様式に基づく医学を「西洋医学」、
伝統中国医学の知識に基づく医学を「東洋医学」とも呼ぶ。
医学と医療の年表も参照。
西洋医学
中世では、外科は
キリスト教徒の職業とはみなされていなかった。病気は神の恵みであり、医療は神への冒涜とされた。当時は
理容師(
英Barber surgeon:理容外科医とも言われた)によって外科手術やまじない的な
瀉血治療などが行われていて、これは学術的な医学が発達するまで広く行われていた。このように、ヨーロッパにおいては、古代ギリシア等の知識が継承されることなく、学問としての医学は低迷したが、これらの知識は、
イブン=スィーナーや
イブン=ルシュドに代表される、イスラム世界において継承された。
ルネッサンス期に、これらイスラム世界における書籍が翻訳され、
パドヴァ大学などで研究され始めるにつれて、人体に対し(部分的ではあるが)実証的研究がはじまり(→
実証主義)、それまでの医学上の人体知識が徐々に否定されはじめ、近代科学としての医学が萌芽した。
日本では
安土桃山時代に本格的な西洋医学が伝えられ始めたといわれていが幕末に
蘭学とともに西洋医学書の翻訳などが行なわれ、
明治維新後に
漢方医学を廃し西洋医学を医学とした。
"西洋医学は実証的"というようなイメージだけは一般の人々の間で先行していたものの、その実態としては、実は、個々の治療法の効果は統計的・科学的には十分に検証されないまま、医師個人やグループがめいめいの少数の経験や「勘」で判断し、その怪しげとも言える知識が師から弟子へと伝承されるような状況が長らく続いていた。が、近年(ほんの10年~20年前)になって、ようやく、本当の意味でのより厳密な実証を求める
エビデンスに基づく医療が真正面から提唱され、この数年、次第に医学界に浸透しつつあり、標準的/望ましい とされる治療法が一部で毎年少しずつ入れ替わるようになった(つまり「エビデンスに基づく医療」という手法が実際に効果を挙げつつある)。
東洋医学
東洋で「医」の象徴とされているのは一般に
薬師如来が知られているように、元々
漢方等の薬を扱っていた者によって医は行われていった。古代
中国では「医」は主に
道士や
法師等によって伝統中国医学として発展していった。
分野
研究や教育のための知識体系としての医学は、伝統的に次のように分類されている。大学
医学部の組織においても、研究・教育のための人員の配置がこの分類に沿って行われる場合が多い。最近は、名称が多様化しているが、実質は、下記の分類とさほど変わりがない場合が多い。
基礎医学
人体の構造・機能、疾患とその原因など医学研究の根拠となる知見を得るための学問分野である。これらの科目は医学部、薬学部等医療系学部以外に一部の大学では生物学科でも開講している。
社会医学
社会医学とは社会的な環境と健康について研究する医学領域。
臨床医学
診断や治療などに直接関連する応用的な研究分野である。
- 臓器別分類
- 解剖学的分類
- ライフステージによる分類
- 手法による分類
- 疾病による分類
関連分野
医学に関連する分野には以下のようなものがある。
- 代替医学・伝統医学
- しばしば実証性に乏しいが - 西洋医学と異なる独自の理論・治療体系をもつ医学分野。国によっては医療制度に組み込まれ - 大学などで研究・教育が行われている。
- * 伝統医学
- ** アーユルヴェーダ - ギリシャ医学 - 中国医学 - ユーナーニー医学 など
- * 代替医療
- ** ホメオパシー - カイロプラクティック など
- * 国によっては代替医療と扱われるもの
- ** オステオパシー(アメリカでは正規の医学)
論議
「医学」1894年。医学の限界を寓意によって示したこの作品は学界の強い非難を浴びた。]]
20世紀になり、医者は患者の健康を劇的に改善する技術の向上に力を注いだ。これは、しかしながら、心のない、機械的な治療として非難されるようになった。
1970年代になると、専門的な知識を集め、1980年代にはまとまった議論となりはじめた。
最も辛らつな批判を行ったのは、
イヴァン・イリイチ『脱病院化社会』(
Medical Nemesis、
1976年)であろう。イリイチの意見では、現代医療は病気を取り除く際に健康を取り戻すことをせず、結果的に健康を損なっている。人間は、この見方では一生患者なのである。他の急進的な
哲学者も同様の意見を述べているが、ここまで強く主張することはない。
これらの現代医学への批判は、医学を教える大学・学校の教育課程に影響を及ぼしている。現在は教育時に医療倫理が重視され、生物心理社会的介入モデルや同様の概念などの全体論的医学の重要性を教えるようになっている。
現代医学が、多くの批判に応え切れていない現実から、
代替医療に向かう多くの人がいる。これらは科学的にはまだ根拠に乏しいが、症状の改善が見られるという報告もある。
現状
日本では
大学
医学部または
防衛医科大学校医学科を卒業すれば
医師国家試験の受験資格が与えられる。東洋医学の単独の医師国家試験免許はない。日本では、
医師免許があれば、西洋医学、東洋医学に分け隔てなく、医療行為を施すことが可能である。
西洋医学を中心する医学部と別に、中医学を専門に勉強する中医学部に分かれる。
西洋医学部を卒業すると医師免許受験資格を与えられ、中医学部を卒業すると中医師免許受験資格を与えられる。
日本との違いは、医師免許自体は、中医学系と、西洋医学系の二本立てであることである。
数年前から外国人の中医師免許相当の国際中医師免許も受験できるようになっている。
関連項目
外部リンク
*
いかく