動物や
植物などの一連の存在のことを総称して
生物(せいぶつ)または
生き物(いきもの)と呼ぶ。
生物(なまもの)と読むと、加熱調理などをしていない
食品のことを指す。
定義
生物を定義するのは難しい。普通の言葉では、
生物とは
生きているものであり、生きているとは
生命があることであり、といった、言い換えしかできないからである。現在、我々が生き物と見做して知り得ているものが、生き物全てである保証はない。
生物が無生物から区別される一般的な特徴として、生物は、
自己増殖能力、
エネルギー変換能力、
恒常性(ホメオスタシス)
維持能力という3つの能力をもっている。
生物の個体は何らかの形の自己複製によりその
祖先(
親)から
誕生し、ほとんどは恒常性の破綻とともに
死を迎える。その間の
時間は、生物は外部から
物質を取り入れ、体内で
化学変化させ、生じるエネルギーで自らの体の状態を一定に維持し、あるいは発展させ、不用な物質を外に捨てる。この誕生と
死の間の
エネルギーを変換しながら活動している状態が
生きているということである。
つまり地球上の生物で言えば、
タンパク質からなる
酵素を中心とする
代謝の働きと、
核酸からなる
遺伝子による
遺伝の働きが、生物が生物であることを維持するためのしくみであると言える。
現在の
地球上の生物に限って言えば、最も明確に生物を定義する特徴は、
細胞から成り立っているということである。細胞は先述の生物の定義に於いて、生物と見なせる最小の単位である。
生物と非生物の境界領域に
ウイルスや
リケッチアがある。両者共に他種の生きた細胞の存在なしには何もできないが、適当な細胞の存在下では一定の活動を行い、
自己複製を行って数を増やし、他の細胞へと侵入することができる。それは明らかに生物である
細菌類の
病原体の振る舞いと変わらなく見える。構造的に細胞からなるリケッチアは生物に入れられる例が多いが、
リケッチアも単独では自己増殖能力がないため、境界領域においてはこの3つの能力を基準にした厳密な線引きは難しい。細胞の構造を持たず、自己増殖能力にかかわる構造を自らの中に持たないことから、ウイルスは生物ではないと見なす判断が慣習的には多い。ただし、その存在の起源に生物が関わった可能性は高く、生物に無関係とは考えられない。
生物の分類
生物の特徴の一つは、それぞれの個体が
種と呼ばれるグループを形成していることである。種の違いを認識し
学名をつけるのが
分類という作業である。現在分類されている種だけで200万といわれるが、実際にはこの数倍の種があるともいわれている。分類は何段階かの範疇に従い、最も大きな範疇を
界と呼ぶ。歴史的に最も古くは生物は
植物と
動物からなるとした二界説(植物界、動物界)があり、その後の生物観の進展とともに、三界説、五界説、八界説などが登場した。現在は一般に五界説が受け入れられており、生物全体を
モネラ界(
原核生物を含む)、
原生生物界、
植物界、
菌界、
動物界に分類している。また、
分子生物学の見地から、生物全体を
真正細菌、
真核生物、
古細菌の三
ドメイン(界の上位に位置する
タクソン)に分ける方法も受け入れられてきている。
生物を成り立たせる生体物質
生きているという状態は、無数の
化学反応の総和であるという見方もできる。これら化学反応がおこる場を提供しているのが
水である。生物は水の特殊な
物性に多くの事を依存しており、極めて重要でかつ主要な構成成分である。
生物の複雑さを象徴する物質の一つが
タンパク質である。タンパク質は20種類の
アミノ酸が数十から数百個結合したものだが、その
順列組み合わせによりその種類は何千万種類にものぼる。あるタンパク質は、化学反応を
触媒する
酵素として働き、あるものは生物の構造を支える骨格として働くというように、様々な働きをしている。
ロバート・フックがコルクを顕微鏡観察して見出した小さな区画に小部屋(cell=細胞)と名付けたように、細胞とはある区画化された空間であり、外界から隔離することは生物を成り立たせる重要な要件である。この区画をしているのが
細胞膜であり、
脂質がその主要な成分である。脂質は
エネルギーを貯蔵するのによい物質でもある。
生物は区画された空間ではあるが、完全に外界から遮断されているわけではない。外部から
エネルギーを取り入れ内部で消費し、外部に
エントロピーを逃がす
散逸構造と呼ばれる仕組みになっている。生物間でのエネルギーの流通に
炭水化物は重要であり、主に
植物が
光合成によって生産している。
ドーキンスの「
利己的な遺伝子」に即していえば、たまたま自己複製する
分子が存在し、それを継続的に支える環境が生まれた結果、生物が誕生したともいえる。
核酸は
遺伝子の実体だが、核酸が
相補鎖を形成するという性質が生物の大事な本質である。
生物の歴史
地球外生命
地球以外に生命が発見された事例は記録されていない。一方、
地球と同様の生物や、あるいは異なった性質の生物が地球以外に存在する可能性も否定されていない。
太陽系においても、
火星には生命が存在する可能性が指摘されている。少なくとも過去においては生命に適した環境が存在していたと考えられている。現在でも液体の水と熱源がまだ残っていれば、一部の古細菌(
メタン菌)の生存に十分な条件が整っているとされ、水や熱源の探査は火星の探査計画でしばしば行われている。太陽系外惑星の観測は、主に星震などの観測が行われているが、
スペクトル観測も少しずつ行われるようになってきている。
2007年に発見された
グリーゼ581cに生物が生存可能な環境の存在が期待されたことがある。2008年現在、木星型惑星だけでなく地球型惑星の観測成果も少しずつあがってきている。
有機物以外を構成要素とする生物も想定される。このような仮想理論は「
代わりの生化学」と呼ばれている。比較的頻繁に言及されるのが、
炭素に代わって
ケイ素を中心とする代謝系を持つ生物(
ケイ素生物)である。
SFの世界では、
ガスから成る生物や
電磁波から成る生物などが登場する。他に純粋
知性、
精神あるいは物質によらない意識が登場するが、現在の
科学では、物質的な実体に依拠しない意識は確認されていない。
関連項目
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