概要
名前の由来は南米に棲む
ヤマネコの
パジェロ(またはパンパスキャット、コロコロ)から。
RVブームと呼ばれた1990年代の販売台数がとても多く、以前は4輪駆動車としての代名詞が「
ジープ」であったことに加え、パジェロという呼称も世間で広く認知されるにいたった。
ダカール・ラリー(通称パリダカ、以下パリダカと表記)に毎年参戦し
優勝などの好成績を残していることから世界中に知られている上に同車のファンが多く、また三菱自動車工業の国内における
フラグシップモデルとして位置づけられている。ただしパリダカ出場は2008年が最後になる模様。
全車種が
岐阜県加茂郡坂祝町にある三菱自動車の子会社の
パジェロ製造で製造されている。ちなみに、人口が10,000人に満たない同町の税収の大半をパジェロ製造からのものが占めている。
また、初代の海外現地生産に関しては三菱自動車工業の提携先である
韓国のヒュンダイ(
現代自動車及び現代精工(現・ヒュンダイモービス))により『ギャロッパー』の名称で
ライセンス生産が行われた。、
歴史
初代(1982年-1991年)
4D55型・2300cc・
ディーゼルターボ(グロス95馬力)、4D55型ディーゼル(グロス75馬力)、G63B型・2000cc・
ガソリン(グロス110馬力)搭載の4ナンバー車(小型貨物車)のみの設定だった。ボディタイプはメタルトップ及びキャンバストップ。
1983年、5ナンバーの乗用モデル(メタルトップワゴン)が追加。4D55型ディーゼルターボ及び、G63B型ガソリンターボ(グロス145馬力)が搭載された。またこの車で、今ではパジェロと一致して語られるパリダカの市販車無改造部門への挑戦および部門優勝が始まる。(翌年以降の改造車部門では
4G63Tを縦積みした車両が使用され、プロトタイプの登場までは、ほぼ市販車両の強化版で参戦し、実績を上げる)
1984年、
ホイールベースと
ボディの延長と共にハイルーフ化された4ドアが登場。5ナンバーのエステートワゴンと4ナンバーのエステートバンが用意される。エステートワゴンは3列シートの7人乗りで、1BOXワゴンのようにも使える多目的車となった。
1985年、エステートワゴン2300ディーゼルXLにAT車追加。
1986年、4ドアのミッドルーフが登場。ディーゼルエンジンが4D56型・2500ccへと変更。
1987年、V型6気筒の6G72型・3000cc・ガソリンエンジン(ネット150馬力)に3リンクコイルリジット搭載車が登場し、RVの乗用的高級化路線の先駆けになる。現在のパジェロにつながる高級グレード「エクシード」をミッドルーフ車に追加。
1988年、ディーゼルターボ車はインタークーラー装着で94PSにパワーアップ。
1989年、オーバーフェンダーとワイドタイヤを装着したワイドシリーズ設定。ガソリン車はすべてV6・3000に統一。キャンバストップ・V6 3000スーパースポーツは歴代で唯一の1ナンバー登録の普通貨物車である。GLグレードは装備のグレードアップでJXになる。
モータースポーツに関連した特別限定車は、1986年に
ロスマンズスペシャル(パジェロが優勝した
ファラオラリーのスポンサー)、1987年に
キャメルトロフィー国内選考会で使われた車両のレプリカとなるキャメルスペシャルがあった。
韓国の
現代自動車のグループ企業である現代精工(現・ヒュンダイモービス)で「
ギャロッパー」としてライセンス生産されていた。その後ギャロッパーはモデルチェンジを受け、『ギャロッパー II 』となり、『ギャロッパーイノベーション』という、パジェロエボリューションを意識したモデルも登場した。
さらに、同じく韓国のメーカーでRVを主力商品とする
雙龍自動車からも「コランド・ファミリー」(後にコランドの名が取れ、「ファミリー」に名称変更される)という名称で生産されていた。
また時代を反映してか、特装車も数多く存在し、給排気をルーフ上で行い、自動タイヤ空気圧調整やハブ類の機密性を極限まで高めたアドベンチャー仕様(
ジャッキーチェンが保有)や、ポップアップルーフによるキャンパー、機械式
ウィンチを前後に装着した電気保安用車両、変わったところでは、浮子をボディに装着し、ハブリダクションにより
スクリューを回す災害時の水陸両用車両、機械式ウィンチで作動するプラウやタイヤの代わりに無限軌道を装着した除雪車なども存在した。
1990年、特別仕様車「スーパーロイヤルエクシード」発売。ワイドシリーズのディーゼル車とエステートバンにA/T車追加。
Image:Mitsubishi Pajero 012.JPG|ミッドルーフワゴン2.5DT XL
Image:Hyundai Galloper front 20070925.jpg|初代パジェロのライセンス生産車
ヒュンダイ・ギャロッパー写真はイノベーション
2代目 V20・40系(1991-1999年)
初代L系が引き続き好調に販売されていることを受け、三菱自工としては異例の長さの構想期間や車両テストにより、車両構造の洗練が一層進んだ事が評価を高める一因ともなっている。特に有名な点は、リアコンビネーションランプの室内空気利用ヒーターや、リアドアを積雪地向けに三角の切り欠きを設けたりなど、車両がほぼ完成した後に変更された点が多数見られる。
2代目発売が遅れた背景には、初代発売当初の月間登録台数が数百台と低調のまま推移し、2代目の開発予算確保が困難であったという事情もある。その後、逆に販売が爆発的に伸び、社内に「2代目不要論」まで飛び交うほどともなったことも2代目登場が遅れた要因となった。
当時、それほどまでの社内にすら混乱を生むほどのRVブームと呼ばれる現象の中心にいた車両がこの2代目パジェロともいえる。
当時RV車両としては
トヨタ・カローラなどの
乗用車を抜いて初の国内新車月間販売台数1位獲得という快挙を成し遂げている。
走行中でも駆動方式が変更可能で、センタービスカスを持つ
スーパーセレクト4WDが搭載された。フロントおよびサイドドアに非常に大型なインパクトビームを内装し、外板に高張力鋼版を多用したことにより、先代に比べ重量および頑丈さが増した。
初代のイメージリーダーのキャンバストップを引き継ぐかたちで、後部が幌で、リアデフロック・16インチブレーキ・18インチホイール車種専用タイヤ・極低速ギア比デフ・ロールゲージなどが標準搭載されるJトップが設定された。
搭載エンジンは初代から若干変更を加えた6G72型V6 3000cc(155馬力)と、給排気をリファインし若干パワーアップした4D56型 2500ccディーゼル(105馬力)。
フロントはダブルウィッシュボーン+トーションバー・リアはダンパーを前方向にプログレッシブに配置した3リンクコイルを踏襲。競合他車のダンパーの横方向のオフセットマウントや4リンクリジッドサスと比較し、瞬間的な静止状態でのトラクション重視という跳ね馬的なスポーティさを目指した。
ボディは基本的に3種類(ショート・ミッドルーフ・ボディ後端がハイルーフ化されたキックアップルーフ)が用意され、それらにオーバーフェンダー有無、エンジン4種類、装備の差別化、商用車までを含めると(建設省仕様などの準特装車は除いて)、時期によっては最大で1車種でありながら30数種類ものグレードがディーラーで購入可能だった。
特別限定車として、パリ~ダカール総合優勝記念車やNo.1スペシャル(月間販売台数1位記念)などが登場した。
1993年
7月19日、ビッグ
マイナーチェンジで、V6 3500ccの6G74(230馬力)と直4 2800ccインタークーラーターボディーゼルの4M40(125馬力)が追加された。
ボディこそほぼ変わらないものの、高出力化に合わせミッション容量の大型化(MT・ATとも)エンジンマウントの見直し、それらに伴いラダーフレームにも各所に変更が施された。前期型に比べ、1インチ近くボディリフトされ、16インチブレーキやマルチモードエアバック&ABSなども装備され、外観こそほぼ同じであるが、走りや機能、安全面で大きな改良がなされた。4ナンバー車はキックアップルーフのみへ、従来の2500ディーゼルはメタルトップの廉価版の5MTのみへ。
1994年、V6・3500の設定車種拡大。メタルトップ2500ディーゼルにATが復活。特別限定車として、2800ATのJトップ特装のGAGA、エクステリアをすべて同色化したホワイトパジェロ、主要装備を高級化したリミテッドエディション、内外装色に統一感を出したブルームーンなどが登場。
1995年、ミッドルーフに5人乗りのGシリーズ追加。2800ディーゼルは電子制御化で140PSにパワーアップ。
1996年5月に4G64型直4 2400ccガソリンエンジンを搭載しレカロシート・専用カラーなどを奢った「ルーキー」が追加された。また MMCS(
カーナビゲーション)をメーカーオプションで設定。
1997年にビッグマイナーチェンジで3500cc
GDI6G74 エンジン(245馬力)が搭載されるようになった。
合わせてエクステリアにも大きな変更が与えられた。ボディ見切りの向上を図るべくブリスターフェンダーを採用。また、いわゆる「カンガルーバー」
バンパーによる衝突危険度増大の批判的世論を受け、ABS樹脂製のガードや樹脂部分を大型化したバンパーを採用した。さらにグリルデザインなどのエクステリアパーツの大幅な変更も同時に行った。しかし、デザイン的に後付け感はぬぐえず、鋼板の意匠変更を含む自動車製造上かなり大きな(モデルチェンジに相当する)投資を行ったが、翳りの見えてきたパジェロ人気を回復するには至らなかった。
また従来のボディも廉価版として2代目生産終了まで生産されていた。(Gシリーズ、キックアップルーフ、Jトップ)
手動変速機能と学習機能を持ったINVECS-II スポーツモード
A/Tも新たに採用された。しかしこのミッションは、従来の
アイシン製から自社開発に切り替えたシステム過渡期の製造であり、ガラスのミッションとして、不具合が多く報告されている。
エクステリアは、長大化したサスアーム・ストロークに対応するため、ブリスターフェンダーにさらにオーバーフェンダーを付け、フロントおよびリアバンパーなど各所のパーツも大型化された。さらに、ボンネットはアルミ化され、専用エンジンなども含め、販売価格では到底採算が合わない車ともいわれている。
これら2代目パジェロは、1999年の国内販売終了後も、主にEU輸出用として2002年まで国内生産されていた。
現代自動車ではギャロッパーの後継車種として、2代目パジェロのプラットフォームを用いたモデル『テラカン』が登場した。そのほかにも現代自動車の子会社となった
起亜自動車でも同じプラットフォームを用いたSUV『
ソレント』が登場している。
Image:Mitsubishi Pajero 003.JPG|前期型<ミッドルーフワゴン<2.5DT XG
Image:1993 Mitsubishi Pajero 01.jpg|前期型<ミッドルーフワゴン ワイド<エクシード
Image:Mitsubishi Pajero 002.JPG|前期型<メタルトップ<2.8DT XG
Image:0160060602G400236900900.jpg|前期型ハードトップ装着車
Image:Mitsubishi Pajero 005.JPG|前期型<メタルトップ ワイド<3.5 ZR<リミテッドエディション
Image:2nd-Mitsubishi-Montero.jpg|モンテロ(北米仕様)
Image:Mitsubishi Pajero Pro.JPG|パリダカ仕様車<(1992)
3代目 V60・70系(1999年-2006年)
サイズは、従来の5ナンバーを基本としたボディから、主に海外市場のニーズ向けに、標準サイズで3ナンバー(バンも小型>中型)と大型化された。ただし、このモデルから、国内向けのバンは設定されていない。シャーシはラダーフレームからモノコックボディー(ビルトインフレーム・ボディにラダーを内包する形)へ変更。
合わせて、
サスペンションもパジェロエボリューションと同じく、前後ダブルウィッシュボーンへと変更される。この変更点によって車体全体の剛性強化はなされたものの、クロカン車としての対衝撃性は下がり、結果オンロード指向が高まってしまった。しかし、オンロードとオフロードの両立という観点からは、その完成度の高さを指摘する声も多い。特にハイブリッドリアデフと呼ぶLSDとデフロックを兼用するシステムがその象徴である。
ZX(3200ディーゼル・生産終了)・ZR(3500・3000ガソリン)グレードに近年のSUVでは珍しい5M/Tもある。またMTは通常のクラッチではなく、エンジン始動時やアイドリング停止時などを電子制御で判断し、自動的に切断するという非常に珍しいシステムを採用している。
搭載エンジンはGDI V6 DOHC 24バルブ 3500ccの6G74GDI、SOHC V6 24バルブ 3000CC の 6G72, 4M40をベースとした直4 DOHC 16バルブ 3200cc インタークーラーターボ付直噴(DI)ディーゼルの4M41。
2002年
9月にマイナーチェンジ、ヘッドライト、フロントグリル、リア周りのエクステリアデザインパーツを一新した。
2005年
11月にマイナーチェンジ、外見は前期型のようにヘッドライトのウインカーがオレンジに戻され、中期型ではフタで塞がれていたリアバンパーのランプが復活した。GDIエンジンを廃止し SOHC V6 24バルブ 3800CC の 6G75 に置き換え。
4代目 (2006年-)
2006年
10月4日、フルモデルチェンジ。内外装が大幅に洗練化されつつ、3ウェイ2トーンをロングボディのEXCEED以上のグレードで復活させるなど2代目V20・V40系のスタイリングエッセンスを盛り込み、旧来の三菱車ファンに受け入れられやすい要素を盛り込んだ。
エンジンはV6・SOHCで3800ccの6G75と3000ccの6G72。シフトはマニュアルモード付4速/5速ATの他に先代同様、日本国内向けの新型車では珍しい5速MTの設定もある。プラットフォームは先代モデルのものを改良の上引き続き使用。オーディオはアウトランダーにも設定がある
ロックフォード・フォズゲート社の
5.1chサラウンドを盛り込んだアコースティックサウンドシステムが設定される。
2007年
10月17日、ロングボディに6G72を搭載した「GR」を、ショートボディにベーシックグレード「VR」と最上級グレード「SUPER EXCEED」を追加するなどのマイナーチェンジを実施。
2008年
10月1日、販売休止以来、約4年ぶりにディーゼルエンジン搭載車が復活。3代目モデルに搭載されていた4M41型3200cc DOHC16バルブ インタークーラーターボDIディーゼルエンジンをベースに、ターボチャージャーを
可変容量式(VGターボ)に変更、「コモンレール燃料噴射システム」・「
NOxトラップ触媒」・「
DPF」の3つの先進技術を取り入れ進化。排出ガスの浄化と低騒音化を実現し新長期規制に適合すると共に、平成27年度燃費基準も達成した。ディーゼルエンジン搭載車はロングボディのみで、「EXCEED-X」を除く全グレードに設定される。ガソリン車にも一部改良が加えられ、AT車は4速から5速に変更し、燃費性能を向上。内外装も一部変更が加えられた。なお、今回の一部改良に伴って、グレード体系の整理を行い、ロングボディの「ZR」とショートボディの「VR」を廃止した。
Image:Mitsubishi Pajero 2007 Interior 001.JPG|エクシードの室内
パジェロエボリューション
PAJERO EVOLUTION(パジェロ エボリューション、通称:パジェロエボ)はパリダカを筆頭とするクロスカントリーラリー参戦のために開発されたマシンである。本稿では便宜上市販されたパジェロエボを「初代」、パリダカ専用で市販されない現行のパジェロエボを「2代目」とし、以後大きくモデルチェンジした新バージョンが登場した場合は「○代目」として区別する。
初代(E-V55W)
1997年から2001年のパリダカは
プロトタイプ(競技専用モデル)とガソリンターボエンジンでの参戦が禁止され、
ホモロゲーションを取得すべく既存のパジェロメタルトップ(ZR-S)を改良したこのモデルが採用された。市販価格はMT車で370万円。
エンジンはV6 3500ccの6G74を搭載するが、GDIに代わり
可変バルブ機構"
MIVEC"を採用してパワーアップ、最高出力280馬力、最大トルク35.5kgmを発揮した(当時パリダカの市販車改造部門にパジェロで参戦していたプライベーターも4G63Tから6G74-MIVECバージョンに換装)。
トランスミッションは5速MTとINVECS-IIスポーツモードAT(5速)。
1998年のパリダカではジャン・ピエール・フォントネがこのマシンで総合優勝を飾っている。
2代目
2001年にパリダカのクラス分けが変更され、市販車改造クラスとプロトタイプクラスが統合される形でスーパープロダクションクラスが新設された。これに伴い再び市販車ベースからオリジナルマシンへと方向転換が図られた。
増岡浩が初めてパリダカで総合優勝した2002年はマシンがまだ開発中だったため市販車(3代目パジェロメタルトップがベース)で参戦したが、翌2003年から2代目エボで参戦している。
デザインは市販のパジェロシリーズとは全く異なっており、スペースフレームに
炭素繊維製ボディなど、どちらかといえば初代パジェロエボが登場する以前のパジェロプロトタイプに近い。
2005年のパリダカに参戦するモデルは、新開発の6G74をベースにしたV6 4000ccエンジンをはじめ、トランスミッションを高低切り替え機構付きの5速マニュアルから6速マニュアルに変更(4WDトランスファー部分はファイナル高低切り替えを存置)するなど、メカニズム等を大幅改良したものを採用した。
関連して、日本のモーターショーなどには登場しなかったが、EUでは、市販用にテスト製作されたpajero EVO 2+2という車種が存在している。
3代目
パリダカでは圧倒的な強さを誇り、三菱自動車は2001年以降、四輪部門総合優勝の7連覇を達成している。
2008年を最後にパジェロはパリダカから撤退、後継はレーシングランサーとなる。
エピソードなど
脚注
関連項目
外部リンク
はしえろ