トライク(
Trike)とは、三輪の乗り物の総称で、「
3」を表すtriと二輪の乗り物cycleとの合成語のtricycleが語源と言われる。やがて二輪の自転車やオートバイのことを表すbikeと合成され、trikeと呼ぶようになった。なお、「
ハンググライダーの翼とプロペラをつけた
超軽量動力機」もトライクと呼ばれている。
前輪または後輪のどちらかを、車両の製造時もしくは改造で
車輪を二つにし、上から見て前後輪を左右対称な
二等辺三角形に配置したものが一般的である。左右非対称な車輪配置のものもトライクという。
)]]
特徴
長所
二輪より停止時のバランスに優れれており、特に遅い速度で走る時は有利である(ただし「転倒しない」ということではない)。
身体障害者が手軽に乗れる乗り物としても注目されている。
パラリンピックでは重度及中度の脳性痲痺の選手が使用する(中度の場合2車の使用も可)。
前一輪後二輪のトライクは積載能力に優れていることから、後部に座席を設けて乗客を乗せる
自転車タクシー(輪タク)に用いられていた。国外では現在もよく見られる。
また
箱根駅伝などのマラソン中継で、機動性と安定性が両立できる面からオートバイのトライクがカメラ撮影用に使用されることがある。また、電動トライクが空港や大規模駅舎内において旅客や従業員の移動に使用されることがある。
短所
停止時と低速時のバランスには優れているが、カーブでの安定性は運転者の技量によって安全性が変わってくる。二輪に比べ車体が大きく重いため機敏な動きがしづらい。二輪よりも高価である。オートバイのトライクは運転免許の法律に微細な判定部分があるため、よく把握しておく必要がある。
自転車のトライク
英語圏では人力を動力とするものも
原動機を持つものも共にtrikeと呼び、前後の文脈から区別するか、特に必要な場合は原動機を持つものにmotorを付けてmotor-trikeとして区別する。しかし日本では自転車のトライクは「三輪自転車」と呼ぶのが一般的であり、「トライク」の呼称を用いるのは欧米製の輸入車の愛好家など一部に限られている。。
前一輪後二輪
日本の場合、昔から作られているものは前一輪後二輪のものが多く、現在でも多数を占めている。これらは2本の後輪のあいだに大型の荷台もしくは荷乗せカゴを持つ、実用性を重視した製品がほとんどである。
前輪直結のペダルを直接回す小児用の
三輪車とは異なり、一般的な二輪自転車と似た構造で後輪を
チェーンにより駆動させている。
しかし後輪の片側だけを回す構造のものが多く、路面の状態により
スリップや走行不安定になることもあるため、最近では後二輪ともに駆動力を与えられるものも作られている。(宮田工業製 スカーフウィンディ)
古くは前輪の
ハンドル部分しか曲げることが出来ず、旋回時の安定性が悪いという欠点があったが、1970年代前期頃から、前輪だけでなく
フレーム主要部と後輪部分との間に「スイング機構」を追加して車体を傾けられるようにすることで、2輪車と遜色ない旋回特性が得られ、なおかつ同機構に組み込まれた
ばねの復元力によって、ある程度の自立補助が得られるように改良されたものが主流となった。ただし、なんらかの理由で自らバランスを取ることが困難なユーザーのために、あえてスイング機構を固定または動作制限してしまうオプションが選べる物が多い。この場合、上述のとおり旋回時の安定性が低下するため、カーブに入る前に充分に速度を落とさなければ横転事故に至る危険があることを、運転者は充分に理解しておかなければならない。
この形式のものは、車体前半部の構造が二輪の自転車と同様であり、スイング機構によって操縦感覚も二輪車と似ているが、あくまでも三輪車であるため、後輪の通る軌跡が二輪車とは異なる。これを忘れて2輪車の感覚で走行した場合、
内輪差により曲がり角の障害物に内側後輪を引っ掛け、または乗り上げたり、段差や側溝に片側後輪を脱輪するなどして、激しく転倒し大事故に至る危険があることを、運転者は充分に理解しておかなければならない。
なお、イタリアのDi Blasi社では、車体をコンパクトに折り畳めるユニークな製品を作っている(Di Blasi製 TRICYCLE R31)これにはスイング機構は付いていない。
日本においてスイング機構を持つ三輪自転車が発達したのは、狭く混雑した道路環境により車幅の広い自転車は使いにくいこと。また
普通自転車の規定に合致させることが利便性の面で有利であるため、車幅を広げることで安定性を確保する手法は避けられ、代わりに車体を傾けることで旋回安定性を確保する手法が求められたためである。
前二輪後一輪
日本の場合は、古くは小型の貨物自動車が普及する以前の時代に、
実用車の車体前半部を取り払い、代わりに
リヤカーを前後逆に取り付けたような重量物運搬用自転車もあったが、これは国内ではめったに見られなくなった。海外では、
クリスチャニア・Zigo・nihora・JERNHESTEN等があり、目が届くことから子守に使用されることも多い。
前二輪型は車体のもっとも幅広い部分が運転者の視界の中に位置するため、後二輪型よりも車幅感覚がつかみ易い利点があり、これに着目したものも造られている(ブリヂストンサイクル製 ブリヂストン・ミンナ)、これもカーブを曲がるときに車体が傾かずバランスが取れなくなる弱点があるが、前二輪に特殊なリンク機構などを加えて傾かせることを可能とし、普通の自転車に準ずる旋回性を与えた車両も存在する。(アバンテク製 trikeシリーズ)(ランドウォーカー製 ランドウォーカー)
リカンベントトライク
欧米では、極端に車高を低くし、寝そべるような乗車姿勢とすることで重心位置を下げると共に、左右輪の間隔(トレッド)を広く設定することで安定性を確保し、さらに低い車高にともなう前面投影面積の縮小による空気抵抗削減の効果もあわせて、高速走行を可能とするもの(
リカンベントトライク)が作られており、熱心な愛好家が存在する。
電動アシストタイプ
三輪の自転車は二輪のものより重量が重くなるため、
電動アシスト自転車としての機能の恩恵が大きい。
2005年の愛・地球博では、場内タクシーとしてこのタイプのトライクが3種類活躍した。
代表的な市販車
- ヤマハ発動機製 PASワゴン
- ブリヂストンサイクル製 アシスタワゴン
- パナソニック サイクルテック製 かろやかライフEB
- アバンテク製 trike typeSE
法律的要件
1978年以降
道路交通法上、二輪の自転車と異なる扱いはされない。普通自転車としての要件を満たせば
歩道を通行することもできる。
メーカー
註
関連項目
オートバイのトライク
の三輪車(
北京市瑠璃廠)車室を有するため三輪登録になる]]
トライクは、既存の二輪車の後輪部分を改造したものが多い。構造は
シャフトドライブや
独立懸架を用いるなど
自動車の技術を応用したものが多い。逆に、リアエンジン・リアドライブ(RR)自動車の動力ユニットを用い、前半をオートバイに似た1輪構造にしたタイプもある。元々は
アメリカで流行したものであり、日本国内でも近年は業者による改造が盛んになってきた。
車体全体を車室(ボディ)が覆う車両、運転席がまたがり式座席でない車両、バーハンドルでない車両、荷台を有する貨物用の車両は、日本では小型三輪自動車登録(乗用は7ナンバー、貨物は6ナンバー)になる。
1990年代までの
全地形対応車(ATV)は三輪のトライクタイプが一般的であり、
本田技研工業では
ATC(ALL TERRAIN CYCLES)という通称で販売していた。しかし転倒例が多く、アメリカでは訴訟に発展したことから、日本のオートバイメーカーによる生産は全て4輪に切り替えられ、トライクタイプのATVは急速に衰退した。
法律的要件
当初はオート三輪の法律に従って車両製作を行っていたため、7ナンバーの「三輪幌型自動車」として扱われ、税金や車庫証明などで自動車と同じ扱いだった。やがてトライクの法的位置付けが問題視されるようになり、OTO(市場開放問題苦情処理体制)への提訴がきっかけで、
1999年(平成11年)に当時の
運輸省より『50cc超のトライクは道路運送車両法上では側車付二輪車(サイドカー)・
道路交通法上では
普通自動車とみなす』という見解が出され、これにより同年
7月16日以降、車両登録と
ナンバープレートは二輪車になって、運転免許は普通自動車免許であると明確化された。いきさつの詳細はOTOサイトを参照「
二輪自動車の基本構造を有する三輪自動車の分類の法令による明確化」。
オート三輪同様に公道で
ヘルメットを装着せずに走行が認められる。なお
有料道路の料金は車両法によるためオートバイ扱いで軽料金となるが、
駐車場では普通自動車の扱いとなる。
- 道路交通法上はオート三輪に準ずるものとして扱われ、運転免許は普通自動車免許以上が必要。また高速道路の最高速度は80km/hとなる。
-
道路運送車両法上は、排気量250ccを超える車両は側車付の小型2輪自動車となる。車検証の車体の形状欄には「側車付オートバイ」と記載される。
- 排気量250cc以下50ccを超える場合は「側車付軽二輪」扱いになる(3輪の原付二種扱いはない)。
- 50cc以下の場合、車体要件を満たしていれば原動機付自転車(ホンダ・ジャイロなど)としての扱いとなるが、満たさなければミニカーとしての扱いとなる。
トライクタイプの2輪車について
ピアジオMP3が、2輪車の保安基準を適用する保安基準の改正があった。
「国土交通省では、自動車の安全・環境基準の拡充・強化を進めるとともに、自動車の安全・環境性能の確保に関する国際的な整合性を図るため、平成10年に「国連の車両等の型式認定相互承認協定」に加入し、これに基づく規則(協定規則)について段階的に採用を進めているところです。(中略)また、近年開発された前二輪・後一輪を有する一定の要件を満たす自動車について、基準の適用を整理し、二輪自動車の基準を適用することとしました。
これらの改正により、より安全・環境性能の高い自動車が普及するとともに、自動車・同装置の国際流通の円滑化、生産・開発コストの低減等がより一層図られることにより、効率的な車両安全対策が推進されることが期待されます。
【改正概要】
3個の車輪を有する自動車又は原動機付自転車であって、左右の車輪の
間隔が460mm未満であるなどの一定の構造を有するものは、二輪車の保安
基準を適用します。一定の構造として次の要件を規定します。
- 3個の車輪を備えるもの
- 車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に備えられているもの
- 同一線上の車軸における車輪の接地部中心の間隔が460mm未満であるもの
- 車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有するもの
【適用時期】
施行日より適用します」
- この改正がもたらす影響で、ピアジオMP3は側車付2輪登録でなく、2輪車登録となった可能性もある。
サイドカータイプのトライクについて
従来のオートバイの側面に一輪を増やした
サイドカーも、オートバイを改造したという成り立ち上はトライクの一種であったと言う説もある。どちらも現在の日本の法律では側車付二輪の一種とみなされ、構造によって四輪免許か二輪免許に分かれている。
過去に、外観はサイドカーだが、側車側の車輪も駆動された車両を、ヘルメットを着用せずに運転して違反とされたが、後に警察側が「トライクであった」と間違いを認め違反を取り消した事例がある。
このようにサイドカーでも下記のようにトライクと見なされる場合、自動二輪免許で乗れないものがある。サイドトライク・サイドトライカーとも呼ばれる。
- 側車を分離したときオートバイとして単独で運転できない車両
- 運転席側の側面が開放でない(ドアがある)車両
- 走行軌跡が3本になる車両
を
トライクとみなし、普通自動車免許が必要となる。
具体的に、以下のものもトライク扱いになる。
- 二輪駆動(2WD)のサイドカー:2輪を駆動させるサイドカーは「フルタイム型」「パートタイム型」共にトライク扱い。ウラル型2WDサイドカー、ドニエプル、メガゼウス等。
- 二輪操舵(2WS)のサイドカー:本車の後輪を操舵できる場合はトライク扱い。メガゼウス等。
- 一体型のサイドカー:設計時点から一体構造のフレームで、二輪のオートバイの構造をもたないためトライク扱い。メガゼウス等。
- 例外:この基準があてはまらない車種も存在する。「クラウザー・ドマニ」はレーシングニーラーのサイドカーに性質が近く、バイクの操縦感覚がない四輪自動車免許のみの運転者が乗ると危険であるため正式な二輪車認定車種になっている。
- 標準的なサイドカーに一体型ボディーをかぶせたものでは、側面開放なら二輪免許扱いになる。外観が似ていても免許が異なり無免許運転やノーヘル運転につながるため、注意が必要である。
トライクの特徴を生かした実用例
身体障害者が手軽に乗れるオートバイとして注目されている。
積載能力に優れていることから、後部に座席を設けて人を乗せられる(荷台になっているものは日本ではトライクとは呼ばれず、伝統的に
オート三輪と呼ばれている)。
箱根駅伝などのマラソン中継で、機動性と安定性が両立できる面からトライクがカメラ撮影用に使用されることがある。
電動トライクが空港や大規模駅舎内において旅客や従業員の移動に使用されることがある。
レンタルトライク
- 2006年より、日本ではマツダレンタカーが試験的に一部店舗で導入した。
- 沖縄では、トライクリゾート アジュール・ウインドが恩納村でスクータータイプを中心にレンタルしている
メーカー・インポーター
- 国内
- トライクジャパン
- サクマエンジニアリング
- サンダートライクス
- ボスホスサイクル東京
- GORDON
- 海外
- COSMOS
- PEGASAS
- Air Borne
- ピアジオ
関連項目
外部リンク
参考文献
- 雑誌『別冊 MOTOR CYCLIST』八重洲出版(連載記事より引用)