トータル・セリエリズム(Total serialism)は、音高だけでなく、音価・強弱・アタック・音色なども厳格に
音列技法によって統治する作曲法である。日本語で
「総音列技法」、
「総音列音楽」とも言う。
歴史
トータル・セリエリズムは、
ヘンリー・カウエルなど何人かの作曲家が予言していた手法であったが、
ルネ・レイボヴィッツが
十二音技法の音高操作の欠陥を指摘してから、飛躍的にトータル・セリエリズムへの期待が高まった。
そして、
オリヴィエ・メシアンが「音価と強度のモード」でその可能性を編み出したが、「ピアノソロのためにかかれたので音価操作に難がある」、「各パラメーターの操作がセリー(音列)ではなくモード(旋法)」であったため、充分な結果とは言いづらいものがあった。
手法
典型例はピエール・ブーレーズの「構造Ia」にみられる。
トータル・セリエリズムの手法は
十二音技法の延長として考えられた。
音価や
強弱、あとアタックにも数的操作が施される。音価は、十六分音符を1として八分音符を2、四分音符を4…とする。強弱も同じく、ピアニッシモを1とするとピアノは2、メゾピアノは3、メゾフォルテは4…として、あとは同じ手法である。アタックも12個分短いものから長いものを配列するが、音価のさらに12分割と捉えられていた。
欠陥
まず問題とされたのは、「人間が聴くことのできる情報処理能力には限りがあるではないか」ということであった。実際初期のトータルセリエリズム楽曲の演奏は甚だ誤りが多く、しかもそれを聴く聴衆の耳も誤りだらけであったために、問題は深刻化した。この問題はテクノロジーの発展とよい演奏家に恵まれて沈静化したが、1990年代に入って批判的に1950年代が分析できるのを待たなければならなかった。
もう一つの欠陥は「音響パターンの一様化」であった。このことにはすぐに多くの作曲家が気づき、後にはトータル・セリエリズムを超えた
ポスト・セリエルについての議論が加速化する。
関連項目
とおたるせりえりすむ
----------------------------------------------
出典:「フリー百科辞典ウィキペディア」(2009-01-01)
ご利用上の注意