Max」、サイドカーは「バイワーゲン」製のもの。サイドカー&オートバイとしてはオーソドックスな組み合わせのうちのひとつ。]]
サイドカー (Sidecar) とは、
オートバイや
自転車などの二輪車の横にもう一輪の車輪を取り付けた、変則的な三輪車、あるいはその横に取り付ける部分のことを言う。
側車とも呼ぶ。
注:本来サイドカーのバイク部分を「本車」というが、特定車種の代名詞も「本車」と表現するため、この記事ではバイク部分を「単車」と表現している
歴史
四輪
自動車がまだ高価で一般大衆に高嶺の花であった時、オートバイや自転車は実用的で手軽な足として使われていた。しかし、それらは大きな荷物を運ぶに適さず、また安全に多人数が搭乗することもできなかった。そこで、オートバイや自転車の横にもう一輪の車輪を取り付けたサイドカーが考案された。日本語でサイドカーの事を「側車」、オートバイのことを「単車」と呼ぶ。それは黎明期にはサイドカーは今よりももっと一般的であり、「サイドカーがついていないオートバイ」を区別して単車と呼んだ名残りである。
その発祥は、19世紀初頭のヨーロッパ(イギリス・フランス)である。当初、サイドカーは「スリーホイラー」とも呼ばれ、その名の通り、現在のトライクに相当する三輪オートバイのようなものが原型で、利便性と荷物の可搬性などをオートバイとして追求した結果、現在知られる形に落ち着いた(つまり、当時は「サイドカー」という別車種の認識ではなく、トライクの一種という認識であった)
その後、メジャーな存在になるにつれて、サイドカーに豪華な馬車風の屋根付き側車を付けたものが登場したり、他、トラックの荷台のようなもの
や、コンテナを積んだもの。家族でドライブ(今で言うツーリング)やピクニックに行く光景や、商売でたくさんの荷物を運送する光景、側車が露天屋台になっている物などが日常の光景として見られるようになり、その利用形態を色々と試行されながら発展していった。当時のサイドカーは、庶民の手軽な乗り物、すなわち現在の
軽自動車に相当する地位にあったといえる。
第一次世界大戦から第二次世界大戦初期にサイドカーの性能は頂点に達し、特に
ナチス・ドイツは、四輪自動車の数量不足を補うために生産コストが安く、3名の兵員を輸送できるサイドカーを採用し、偵察や、兵員輸送に多用し、BMW-R71型や
BMW-R75型、ツェンダップKS750型という後生に名を残す名車を生んだ。ソビエト連邦でも、先の BMW のコピー IMZ-M72 型を生産し、多用した。
このようにモータリゼーション黎明期、サイドカーは荷物や人の輸送に役立ち、戦場でも同様な役割を演じた。その後、
ジープ、
キューベルワーゲン、
シュビムワーゲンなどの大量生産できる軍用四輪自動車が登場した。第二次世界大戦後、それらの生産技術が民需に転用され、安価な近代四輪自動車が一般大衆市場に出回るようになった。特に
1955年、小型乗用車「
オースチン・ミニ」の登場で安価な小型乗用車が大ヒットし、その余波を受けてイギリスのサイドカー需要は大幅に縮小していった。
日本においては、
1937年に始まる
日中戦争時に中国戦線に投入された側車部隊が、未舗装道路が多いためにうまく運用できず、サイドカーに対して便利な印象をもたれていなかったが、第二次世界大戦終戦後、
GHQによる四輪自動車生産規制により、
1950年頃まで事実上の四輪自家用車の製造が規制されていたような状態にあったため、比較的規制が緩やかであった三輪自動車やサイドカーが安価な国民の乗り物として一気に普及した時期があった。その時代、サイドカーは非常にポピュラーな乗り物で、日本中にサイドカーを製造するメーカーがあったが、GHQの規制撤廃後、四輪自家用車の製造、特に軽自動車製造の気運が一気に高まり、諸外国同様に、後の日本の国民車とまで例えられた
スバル360に代表される安価な軽自動車の登場によって、サイドカー市場は一気に縮小し現在に至っている。
今日、独特の操縦性やオープンエア感覚などもあり、実用性を失ったあとも根強いファンがいる。ただし、希少性が増すにつれて、非常に高価な乗り物となってしまい、趣味性の強化とあいまった悪循環におちいっている。(但し、ウラルサイドカーや、長江サイドカーのようなマスプロダクションモデルで製造されている非常に安価なサイドカーも存在する。これらのサイドカーは、生産国でもまだ一般的な乗り物である事と、量産モデルとして安定供給できる体制があるために、結果安価で供給できるようになっている。日本でも中古であれば、日本製の最新ソロバイクの新車程度か、それ以下の価格でも購入可能)
形態および技術
側車タイプ
一般に、オートバイの左右どちらかの横にもう一輪の車輪を置き、オートバイとその追加された車輪との間をフレームで結び、オートバイとその車輪との間に乗車用スペースあるいは荷物用スペースを設置する。
- 乗車用スペースが置かれる場合、その乗車用設備の外装のことを、「舟」あるいは「カー」と呼び、対してオートバイを「本車」と呼ぶ。オートバイの右側に舟があるものを「右カー」と呼び、左側にあるものを「左カー」と呼ぶ。また、サイドカーが付いていない状態のオートバイを「ソロ」または「単車」と呼ぶこともある。
- 舟を取り付ける側は、一般に右側通行の国ではバイクの右、左側通行の国ではバイクの左である(四輪車の運転席と同じ側にオートバイが来るようにする)。パレードなどに使われる儀杖用のものの場合、左カーと右カーを対照的(シンメトリー)に配置して並走することもある。
- 側車が2輪のものも、保安基準上で側車付2輪として認められている。道路交通法上は従前から2輪免許だが、側輪が1つステアするために、トライク扱いに移行されたかどうかは不明。
一体型タイプ
「オートバイの車体+サイドカーのフレーム」という独立構成ではなく、全体をサイドカー専用設計としたものもある。オートバイとサイドカーという概念ではなく、レーシングニーラーのように一体でデザインされている。代表車種:
クラウザー・ドマーニ等。
普通自動車免許で乗車するもの(メガゼウス等)は、現在の日本の法律では
トライクになる。
二輪駆動タイプ
サイドカー側の車輪も駆動し、特に荒地での走行性能の向上を目指したものがある。
1輪駆動車に比べて、挙動変化が穏やかになるが、逆にカーブは切り難いと言われている。
現在の日本の法律では、二輪駆動車は
トライクに属する事になった。
- 「陸王・九七式側車付自動二輪車」。日本製。
- 「ウラル」スポーツマン750(パートタイム)は、2輪駆動モデルが現在も日本代理店で新車販売されている。スポーツマン650(フルタイム2WD)は生産終了となった。ロシア製
- 「ドニエプル」ウクライナ製
- 「サイドバイク・メガゼウス」(フルタイム2WD)
- 「BMW・R75」旧ドイツ製 生産終了
- 「AWO-700」旧東ドイツ製 生産終了
- 「ツュンダップ・KS750」ZÜNDAPP 生産終了
パートタイム型のサイドカーの場合、2輪駆動と1輪駆動を切り替えるようになっている。ディファレンシャルギアは装備されていないため、サイドカーの中ではかなり高い不正地踏破性を持っているが、逆に舗装路で2WD走行をすると大変曲がりにくく、タイヤを磨耗させたり、駆動機関部を破損させる恐れがある。したがって舗装路では1輪駆動にしなければならず、1輪駆動車と同等の運転技術が必要になる。「デフなし」と呼ばれることもある。
フルタイム型の場合、
ディファレンシャルギアが装備されているので、パートタイム型のような二輪駆動走行特性が劇的に改善される。これにより、運動特性は1輪駆動サイドカーと三輪バイク(
トライク)の中間的なもの、もしくは1輪駆動サイドカーとデフなし2輪駆動サイドカーの中間的なものになる。
-
フルタイム型・パートタイム型とも単車単独での走行が不可能な構造であるため、免許区分は普通自動車免許以上の四輪自動車免許でなければ乗車できない。二輪免許では不可である。
二輪操舵タイプ
サイドカー側の車輪もしくは本車側後輪を操舵し、走行性能の向上を目指したものが、ごくまれにある。
1輪操舵車に比べて、カーブが切り易い。
現在の日本の法律では、サイドカー側の車輪を操舵するものを特別に区別してはいない。
サイドバイク製コメット、メガコメット、コマンチ、キルノス、ルネッサンスは、2輪免許にて運転される。
アールズフォーク
単車標準のテレスコピックフォークに比べて、危険な前転につながる前輪ブレーキ時のノーズダイブを抑制できる事、ハンドルの重さが解消されやすい事、ホッピング現象を解消できる事などから、特に重量車・高速車・オフロード車では好んで用いられる。
ステアリングダンパー
サイドカーの代表的なトラブルとして、ハンドルの振れ(自励振動)がある。これはオートバイ単体の立とうとする力とサイドカーが遅れたり早まったりする力がうまく均衡しないために起こる。この不均衡から生じる振れをなくすには各種のコツがあるといわれ、ステアリングダンパーはそのうちのごく初期の振れをおさえる装置。大きな振れは手やダンパーでは抑えられない。この場合、強いダンパーの取り付けは疲労破壊につながるため、側車セッティングの見直しが必要となる。
サブフレーム
本車のフレームを補強するフレーム。
バック装置
サイドカーはオートバイ単体よりも重量があり、人力での後退が困難である。乗車したままバックしても単車より転倒しにくいため、本車のトランスミッションにバックギアキットを取り付けたものも珍しくない。大型のバッテリーが積載できるために、側輪にバック専用のモーターを取り付けたものもある。重量級の高額な単車の中には、新車からバック装置が組み込まれているものもある。一体型のサイドカーでは、バック装置は標準的な装備になっている。
走行特性
サイドカーは左右が完全に非対称の乗り物のため、操縦性も左右カーブでも加速減速でも挙動が異なるという、他の乗り物にない非常に特殊な特性になっている。片側に大きな質量を抱えているため、まっすぐ加速・まっすぐ減速するには理屈を理解した上での技術が必要である。
一般的な乗り物は左右のどちらにコーナリングしても似たような挙動をとるが、サイドカーは左右で違う。
これらの違和感に慣れ、快感に変わるには、そう長い時間はかからない。
一方、サイドカーの運転には、通常の二輪車で養った運転感覚がまったく通用しないため注意が必要である。バイク感覚で乗って、大変な目に逢う人は多い。幅があり足を着かなくて良いからと四輪自動車感覚で乗ってしまっても、大変な目に逢う。基本的にサイドカーは単車でも四輪車でもなく、常に転倒の可能性がある三輪車という別の乗り物だと認識して乗る必要がある。
特性を踏まえた運転方法
加速と減速の特性
- 加速する時:側車輪が駆動輪より必ず回転が遅れるため、側車側にハンドルを取られる。登りではこの傾向が強くなる。
- 減速する時:ブレーキをかけた後輪よりも、慣性の影響で、側車側の車輪が必ず遅れて減速するため、側車のない側にハンドルを取られる。下りではこの傾向が強くなる。充分減速するまでは後輪ブレーキのみを使う。これは前輪も惰性回転させることで、側車側の運動エネルギーを同期相殺することと、前転防止のためである。とっさに右手でブレーキをかけてしまわないように、よく練習する必要がある。側車輪にブレーキがあると、減速時の挙動変化は穏やかになる傾向がある。
これらの挙動は、調整などによって多少は軽減できるが、全くなくすことはできない。1輪駆動車は強く、2輪駆動車は薄れる傾向がある。
カーブの特性
サイドカーは通常の二輪車のようにコーナリング時に体重移動で車体を斜めにして重力で遠心力を打ち消して曲がることが出来ない。サイドカーのコーナリングは、自動車のように、ハンドル操作で生じた遠心力で外側に傾く。自動車では車輪が浮きもしないが、サイドカーでは側車輪か後輪が浮いてしまう。特に後輪が浮けば操縦不能になり、浮きが強ければ一番危険な前転事故になる。
基本的にはバイクのハングオフ(俗称:ハングオン)のような体重移動をしたうえに、それだけではステアリングが切れてくれないため、自分で外側ハンドルを強く押してステアリングさせる。この基本操作だけでとりあえずカーブ走行はできる。
- 本車側に旋回する場合は、平地ではここまでの操作は必要としないが、下りでは必ず上記の基本操作を行うべきである。重心を内側にしておけば、不測の事態になんとか対応できる。上級テクニックとして、これに後輪で減速操作を加え、よりクイックにカーブする方法がある。
- 側車側に旋回する場合は、カーブに入るまでに後輪ブレーキで充分スピードを落とし、内側に腰を落としてからハンドルを切る。スピードを出し過ぎていると簡単に側車が地面から浮き上がり、回復不能な片輪走行となり最悪転覆事故となる。アクセルを空けて加速し、側車に乗りかかるように体重移動を行えば、側車側にハンドルが振られるのを利用して円滑にカーブできる。
- 側車が旋回時に浮いてしまう片輪走行現象は、サイドカーの構造的宿命で、側車側の重量は意外に軽く本車側に重量が偏っているために起こる。従って、ベテランドライバーでもこの現象は頻繁に体験し、側車を浮かせながら曲芸的テクニックでカーブを曲がっていくことも珍しくはない。
- サイドカー初心者中級者が乗る場合、側車のトランクや側車座席後部に、30kg~40kg程度のオモリを積む方法もある。手軽に入手できる物として、ホームセンターで売っている園芸用砂袋や、床用コンクリートブロック等がある。これはベテランドライバーでも、一人で長距離ツーリングする際は事故防止のために普通に行っている。オーナーによっては、側車の底部フレームに重い鉄管や鉄板を溶接固定している。しかし逆に加減速の挙動は大きくなってしまうので、積みすぎには注意が必要。
- かつての大戦中のサイドカーは、側車側にやたらと荷物装備(軍用BMW-R75型などの側車へ金属製サイドボックス2個・大型燃料ジェリ缶・飲料水タンク・軽機関銃+兵員)を積んでいる。
- 中国の宝鳮消防機材CBM510には、側車後方に消防ポンプを積載している。
- 極端な例として、メガゼウスは安定性の確保のために、最重量物であるエンジンを側車後部に積むことで良好な重量バランスを得ており、無茶をしなければ側車輪は浮かない(ディファレンシャル付2輪駆動で2輪操舵の影響も大きい)。
初心者が身につけるとよい事
- 急加速をしない。・・思わぬ方向に曲がって走り出すため。
- 急減速をしない。・・ブレーキをかけた瞬間に思わぬ方向に突然曲がって行くため。
- 前輪ブレーキを使わない。・・前転や転覆の危険が増すため。
- カーブで体重移動をする。・・重心を内側の低いところへ移動して前転や転覆を避けるため。
- カーブに入るまでに十分減速しておく。・・カーブでの速度過大は転覆につながる。
逆にこれらの行為を、安全な場所で熟練者の指導のもとで試して限界を知っておけば、割合早く安全な走行ができるようになる。ただし、借り物でしないほうがよい。
2輪駆動車の特性
側車側の車輪も駆動するフルタイム2WD、パートタイム2WDタイプでは、上記のような左右の挙動変化が穏やかになる傾向がある。
- フルタイム二輪駆動の場合、側車側の車輪にも、駆動輪と同様の駆動力を伝えることができ、ディファレンシャルギアが装備されているので、1輪駆動車のような特性が劇的に改善される。これにより運動特性がより四輪車に近いものになる。
- パートタイム型のサイドカーの場合、2輪駆動と1輪駆動を切り替えるようになっている。ディファレンシャルギアは装備されていないため、不正地走行はデフつき2WD以上の踏破性を持つが、ディファレンシャルギアのない2輪駆動で舗装道路で2WD走行をすると、曲がりにくくなり、タイヤを磨耗させたり、駆動機関部を破損させる恐れがある。このため舗装路面では、1輪駆動で走行しなければならず、通常の1輪駆動車と同等の運転技術が必要になる。
-
この2輪駆動型も基本構造は単車単独での走行が不可能な構造であるため、免許区分は普通自動車免許以上の四輪自動車免許でなければ乗車できない。二輪免許では不可である。
実用性
こういった特殊な操縦特性があるため、先進国では、現代の進んだ車両と比較して、日常生活での実用性の点で今日ではいまひとつであり、趣味性がクローズアップされる乗り物となっている。
- 国民の平均所得で自動車を買うにはまだ高価な一部の発展途上国などでは市民の重要な足として一般的な二輪車を改造した形の物が現在も多用されている(フィリピンのサイドカーを利用したタクシーの「トライシクル」は有名)。
- 軍隊や警察組織などではその小回りの効く高い機動性と二輪車では不可能な運搬性能が重宝され、斥候用や、要人車両警護用など、そのような組織でも頻繁に使用されている。
- 2輪車独特のオープンエアー感覚から離れたくない身障者にも、サイドカーは愛用されている。これは2輪と違って足を着く必要がないこと、車椅子のまま乗車するもしくは車椅子を折りたたんで積載する面積が確保しやすいこと、サイドカー自体がオーダーメイドの性格が強いためにサイドカーショップ自身がユーザーの志向を実現させる事に慣れているためである。また、4輪自動車をベースにするよりも維持費や改造費が安いといったメリットがある。
- 身障者の運転免許の取得は近年先例も増え、本車に乗り込み操作する場合は2輪免許で、カー側に乗り込んでカー側から運転操作をする構造にした場合はトライク扱いで4輪免許になる。いずれも試験場に車両を持ち込んでの受験になる。
- 50ccの原付も同様の扱いになっているが、改造車両とセットで適正検査に通れば筆記試験だけで原付免許ライダーになれることから、4輪や2輪と比べて相当敷居は低い。カー側で操作する場合はトライクに相当するミニカーになるが、普通免許ミニカー限定が発行されるか、また試験があるかどうかは不明である。
大きさ
「オートバイ+α」と受け止められて小さなものというイメージがあるが、実際には一般的な5ナンバー乗用車(車幅は1700mm以下)などより幅が広い物も多い、かなり大柄な乗り物である。
- ウラルスポーツマンはそれに匹敵する1700mmの車幅を持つ。
- ヤマハ車にワトソニアンのサイドカーを取り付けたワイズギアのDSC11-GP700モデルに至っては実に1900mmの車幅となる。
スポーツ
一般にオートバイの操縦者は「ライダー」と呼ばれるが、サイドカーに関しては「ドライバー」と呼ばれることが多い。サイドカーが、オートバイと四輪車の中間に位置するものであり、一人でライドするものではなくドライブ(駆動)装置の担当で、操縦テクニックがやや四輪車に寄るためであろう。
ロードレースに該当するものとしては、ニーラーと呼ばれる非常に車高が低い特殊なサイドカーを使ったものがある。ニーラーは、オートバイとサイドカーが、フレームやカウリング(風除け)なども含めて一体でデザインされたものとなっている。通常のオートバイとは異なり、ドライバー(操縦者)およびパッセンジャー(同乗者)のいずれもがひざで体重を支えるような乗車姿勢をとる。ニーラーと呼ばれるのは、ニー(ひざ)からである。
モトクロスに該当するものとしてサイドカーモトクロス、
トライアルに該当するものとしてサイドカートライアルというものもある。これらは、ニーラーに比べるとだいぶオートバイの原型を残している。ちなみに、こちらはニーラーとは呼ばない。
これらのサイドカースポーツに共通しているのは、「ドライバーがひとりで操縦するものではない」ということである。コーナリングなどの際には、パッセンジャーの体重移動なども大きく影響するため、ドライバーとパッセンジャーのそれぞれが高い技術を持っていることだけでは足らず、ふたりの息がどのくらい合っているかによっても成績が左右される。これは、
ラリーや
パワーボートレースなどとも共通する要素であり、モータースポーツとしては独特の分野を築いている。
日本における法律的要件
自動二輪車にサイドカーを付けた場合には、
道路交通法上は自動二輪車に準ずるものとして扱われ、
運転免許には排気量相当の自動二輪車免許が必要となる。
高速道路も含めて種々の二人乗り規制は一定の条件下で全て適用除外となる。
オートバイ・自動二輪車のサイドカー
道路運送車両法上では、側車付二輪自動車(側車付の二輪の自動車)として扱われ、排気量250ccを超える車両は小型二輪自動車の扱いとなる。車検証の車体の形状欄は、「側車付オートバイ」となる。
「側車付オートバイ」のトライクについて
1輪しか駆動させないサイドカーでも、通常の自動二輪扱いでないものもある。サイドカーと車体を分離したとき、オートバイとして単独で運転できない車両については、別名サイドトライク・サイドトライカーなどとも呼ばれ、
トライク同様の扱いとなり二輪免許では運転できず普通自動車免許が必要となる。以前は車検証の車体の形状欄で「三輪幌型」とされて乗用扱いで7ナンバーが付けられていたが、現在は「側車付オートバイ」の一種になった。トライク扱いになったいきさつはOTO(市場開放問題苦情処理体制)サイトを参照「
二輪自動車の基本構造を有する三輪自動車の分類の法令による明確化」
- 2輪駆動(2WD)の場合:2輪を駆動させるサイドカーは「フルタイム型」「パートタイム型」共にトライク扱い。ウラル型2WDサイドカーはこれに該当。
- 2輪操舵の場合:側車輪や本車の後輪を操舵できる場合はトライク扱い。
- 一体型の場合:設計時点から一体構造で、2輪のオートバイ構造ではないためトライク扱い。
- 例外:この基準があてはまらない車種も存在する。「クラウザー・ドマニ」はフレーム構造があきらかに単車単独で走行不可能なオート3輪自動車構造でありながら、自動二輪免許が必要になる。これはメーカーや日本の代理店が自動二輪免許で運転させるように官庁へロビー活動をした結果で、その主張は、「ドマニは他のサイドカーほどハンドルの稼動半径が広くなく、旋回半径も大きい小回りのきかないサイドカーで、レーシングニーラーのサイドカーに性質が近いため、バイクの操縦感覚のない四輪自動車免許しか所持していないドライバーが乗ると危険であるため」という。元は官庁の主張ではないが、これを受けた形で正式な二輪車認定車種になっている(未だ議論はある)。
- なお、トライク構造の「側車付オートバイ」が明確に規定されたのは、ドマニの二輪車認定よりもかなり後の1999年で、その以前は長い間「2輪ナンバー=2輪免許」の分かりやすい時代だった。
- これを今からトライク扱いとするには、ミニカーの「原付免許」が「普通免許ミニカー限定」に格上げ試験があったように、「2輪免許」を「普通免許トライク限定」に格上げする試験が必要になりそうだが、そういった動きはまったくみられない。
- 他の選択肢として、2輪免許と普通免許両方必要な車両、2輪免許もしくは普通免許どちらかがあれば運転できる車両、2輪免許でしか運転できない車両、普通免許でしか運転できない車両の定義を、法令でもう少し細かく決めておく方法もある。
特殊な構造のサイドカーを購入・発注する際は、所持免許を明らかにした上で販売店やメーカーなどに相談することを推奨する。
軽二輪のサイドカー
道路運送車両法上においては、側車付軽二輪として扱われ、排気量250cc以下~50ccを超える場合は二輪の軽自動車の扱いとなる。125cc以下~50cc超は3輪では
原付二種扱いにならない。
高速道路の通行が一定の条件下で3人乗りも含めて可能となる。ただし、通常の原付二種バイクに単にサイドカーを付けただけでは、灯火や制動性能その他について、二輪の軽自動車としての道路運送車両の保安基準の要件を満たさない可能性が高い。
50cc以下のサイドカー
50cc以下の二輪の
原動機付自転車にサイドカーを付けた場合には、道路交通法上は3つの解釈に分かれる。
- 50cc以下~20cc超の二輪の原動機付自転車にサイドカーを付け、輪距が〇・五〇メートルを超えない場合、三輪の原動機付自転車として扱われる。原付免許で運転可能。ヘルメット必要。実際の乗車は大変難しいと思われる。
- 50cc以下~20cc超の二輪の原動機付自転車にサイドカーを付け、輪距が〇・五〇メートルを超えた場合、平成2年12月6日総理府告示第48号により、三輪のミニカーとして扱われる。普通免許(ミニカー限定を含む)が必要。ヘルメット不要。
- 20cc以下の二輪の原動機付自転車にサイドカーを付けた場合、輪距にかかわらず原動機付自転車になる。原付免許で運転可能。ヘルメット必要。
いずれの場合も、乗車定員が1人と定められているため、サイドカー側には乗車出来ない。貨物積載は、積載物重量制限の範囲内で30Kgまで可能。また、通常の原付一種バイクに単にサイドカーを付けただけでは、灯火や制動性能その他について、ミニカーとしての道路運送車両の保安基準の要件を満たさない可能性が高い。
自転車のサイドカー
自転車にサイドカーを付けた場合も、法令の規制により軽車両は乗車定員が1人と定められている。
サイドカー・メーカー
新車で入手可能なメーカー
尚、メガゼウスサイドカーは、側車側にエンジンが搭載されており、単車側は、単に「単車の形をしたコクピット」のような乗り物なので、見た目の形態はサイドカーではあるが、厳密な意味でのサイドカーに分類するかどうかは議論がある
歴史的なメーカー
関連リンク
脚注
参考文献
- Janusz Piekaliewicz(第二次世界大戦のBMW R12とR75) : Die BMW Kräder R12/R75 im Zweiten Weltkrieg, Motorbuch Verlag, 1977, ISBN 3-87943-446-8