コンクリート(混凝土、)は、
砂、
砂利、
水などを
セメントで凝固させた人造石である。
概要
コンクリートは、広義の意味では
砂や
砂利(
骨材という)、
水などを
セメントなどの糊状のもので結合させたものを指す。そのためセメントで結合させたものをセメントコンクリートと呼び、
アスファルトで結合させたものをアスファルトコンクリートと呼ぶ。建築資材として一般に
コンクリートと呼ばれるものはセメントコンクリートの方である。(省略して
コンクリ、
COとも読み書きされる)。別名
ベトン(
Béton - フランス語)。凝固する以前の状態は
フレッシュコンクリートと言われる(
生コンクリートまたは省略して
生コンとも)。
強度と価格の面から、また施工の安易さから、現在最も優れている建築資材の一つであり、
建築物、
道路、
ダム、
高架橋、
トンネル、
港湾設備と用途は幅広い。
コンクリートは
圧縮力(押さえつけられる力)には強いが、引張力には弱い。このためコンクリート単体で使うのではなく、コンクリートの中に
鉄筋を入れた
鉄筋コンクリートとして使われることが多い。鉄筋を入れることで引張力を鉄筋が受け持ち、どちらの力にも十分な強度を持たせることができる。また、鉄筋コンクリートに
鉄骨を埋め込んだ
鉄骨鉄筋コンクリートや、鉄骨鉄筋コンクリートの鉄骨を鋼管に置き換えた
鋼管コンクリート、あらかじめ圧縮力をかけておくことによって大きな引張力が作用しても軽減できる
プレストレスト・コンクリート、生コンクリートに
合成樹脂や
鉄の
繊維を混ぜ込んで強度・
延性を増した
繊維補強コンクリートも用いられる。
コンクリート構造物の供用年数は壁の厚さに比例しており、ヨーロッパ中世及び近世時代の城壁や太平洋戦争時の配筋も無い壁の厚さ2メートルを越える建築物は未だ現役である。しかし日本の旧建築基準で建築された壁厚0.31メートル程度の建造物は普通50~60年程度といわれており、
高度経済成長期に大量に建設された構造物の維持・管理が21世紀の日本の大きな課題となる。
建設省が1998年にまとめた「建設省総合技術開発プロジェクト」の報告書によると、セメントに混入する水を50%以下まで減らし、鉄筋のかぶり厚を十分に取り、収縮や凍結を抑制する添加剤を加えることで、半永久的(500年以上)な耐久性を確保することが可能である。ただ、こうした施工を行うと竣工まで長い時間がかかりコストが膨大なものとなるため、そこまでの耐久性を想定して鉄筋コンクリート構造物を建設することは少ない。
コンクリートの製造
コンクリートの材料は、セメント、骨材、水、混和材および(化学)混和剤である。それらをうまく配合して、目標とする強度や耐久性、施工性を得る。コンクリートの強度は水セメント比で決まる。水とセメントの比率を変えることで、さまざまな強度のコンクリートを作ることができる。近年、化学混和剤を用いて水を減らすことで高い強度を得る高強度コンクリートも多用されている。
コンクリートを生産方法で分類すると、工場(バッチャープラント)で生産される
レディーミクストコンクリート(
生コン)と、建設現場で生産される
現場練りコンクリートに大別されるが、ほとんどはレディーミクストコンクリートである。レディーミクストコンクリートは
トラックミキサ(
アジテータートラック、レディーミクストコンクリート運搬車)によって現場に運ばれる。現場練りコンクリートは、ごく少量のコンクリートを必要とする場合や、逆に非常に大量のコンクリートを必要とする場合に用いられる。ごく少量のコンクリートを必要とする場合は主に手作業で、非常に大量のコンクリートを必要とする場合は建設現場内にバッチャープラントと同様の設備(
サイトプラント)を建設して行う。
コンクリートの施工
未だ固まらないコンクリートはそれ自体形を保つ事が出来ないので
型枠に打ち込み硬化までの所定時間を型枠内部で養生する必要がある。
コンクリートの型枠への
打設(
打込み)の際には、コンクリートの均一性の確保と初期欠陥の防止が重要である。主な防止策として打設時のバイブレーターの使用、木づちによる空気の除去が挙げられる(これらの動作などを締固めという)。初期欠陥として、
未充填箇所、豆板、
コールドジョイント、
ひび割れなどが挙げられる。
締固めが不足すると、未充填箇所を生じてしまう。一方、過剰な加振によって
材料分離を生じることもある。また、十分な
かぶり(建築用語では
かぶり厚さ)の確保が必要である。かぶりとは、鉄筋からコンクリート表面までの最短距離を指す。
適切な仕上げ、養生(ようじょう)を行う。
打継ぎ箇所には適切な処理を施す。
全体に防水処理を施す(見栄えが悪くなる可能性が高いため注意が必要)。
施工業者の経験の豊富さや技術次第で、強度や外見に大きな影響を与えると言っても過言ではない。近年
打ちっ放しの
建造物が多いが、常に外気・水・日光、そして視線に晒されるので、業者の慎重な選定が必要である。
コンクリートの劣化機構
コンクリートはメインテナンスフリーの材料と称される時代があったが、実際には様々な原因によって劣化を生じる。以下に主な劣化機構を挙げる。
- 荷重の増大と設計
- 社会的ニーズに伴い、重量や頻度などの疲労荷重が増大した
- 地震・波浪などの外力の解明が、かつては不十分であった
- 構造物設計時に過度に経済性を追求した
- 許容応力度の変化に象徴されるように、蓄積技術に変化が生じた
- 建築環境の影響
- 凍結防止剤、海水などに含まれる塩化物によって、塩化物イオンが鋼材を腐食させる(塩害)
- 二酸化炭素によって、コンクリートが中性化し、鋼材の不動態被膜が失われる
- 温度・湿度の変化によって伸縮し、コンクリートにひび割れが入る
- 酸性雨によって、セメント水和物の破壊や軟化が起こる
- その他、社会変化
- 材料の品質と選択
- アルカリ骨材反応によってある反応性物質が膨張し、コンクリートにひび割れを生じる
- セメントの品質
- 海産骨材の不適切な使用(洗浄の不十分な海砂を細骨材として用いるなど)により、塩化物イオンが大量にコンクリート中に含まれる
- 人員(現場作業員)の質
- :実際に施工する人員の工法にたいする無知、怠慢によるもの。
- アジテータトラックから現場への搬出時に、作業を容易にする目的で現場作業員が勝手に生コンに水を加え(一部の現場では、水を加えることをのませると呼んでいる。要は不法加水)、結果として想定していた強度や耐久性が不足し、表面の剥離を起こす。(中国自動車道や山陽新幹線のトンネルで起こった天井剥離等、「しゃぶコン」とも言う)
- 現場作業員により廃棄物を混入させられる事がある。これは、廃棄物を混入する事により廃棄する手間とコストを省く行為である。よく混入させられる廃棄物に、「空き缶」「タバコ」「ガラ」等があり、悪質なものでは木製建築廃材などが混入させられる。(例:阪神高速の鉄筋コンクリート製陸橋柱)
コンクリートの検査
施工時に行う検査
打設に使う生コンクリートの柔らかさを測定するために
スランプ試験を行う(試験内容については
スランプ試験を参照の程)。現場監督や施主にきちんとした知識が有ればこの試験により
しゃぶコンなどの使用を未然に防ぐことが可能である。
危惧される問題点
もっともこの試験自体は広く行なわれている。問題は形式だけでない実効性のある試験になっているかである。スランプ試験の結果が出ないうちに現場監督が作業開始を指示している現場も見受けられるが、これでは試験員に暗に「試験結果をごまかしてでも合格させろ」と圧力をかけているようなものである。スランプ試験に合格するまでは作業を開始しないこと、そして不合格・再取り寄せを想定した余裕のある工程が必要である。
従来は、使用材料、かぶりといった仕様を規定していたが、近年は、供用予定期間、温度変化などの性能規定型へ移行している。
- ※ 照査は、検査とは別の言葉であり、「設計・計画された内容が要求性能を満足しているかどうかを、実施工が始まる前の段階で施工主が判定すること」である。
非破壊検査
非破壊検査には外観検査と内部検査とがある。
- 外観検査は、目視や写真、ビデオの撮影による外観の検査である。
- 内部検査は、超音波やX線、赤外線などを利用した内部の状態の検査である。
コンクリートの維持管理計画
ジャンカ
などを防ぐために初期点検、劣化予測、要求性能の評価・判定、対策、点検、記録をする必要がある。
特殊なコンクリート
一般的なコンクリート (普通コンクリート) 以外に、以下のように特殊な目的に用いられるコンクリートがある。
- 高強度コンクリート
- 高層建築や大スパン建築の実現のために開発された、普通コンクリートよりも強度の高いコンクリート。高強度コンクリートは設計基準強度は36N/mm²~、超高強度コンクリートでは60N/mm²超のものもある。
- 硬化時に内部の気泡を減少させて密度を高めているが、近年地震時などの火災熱により内部の水分が気化膨張して破裂する「爆裂」の危険が指摘され(通常のコンクリートは気泡が水分の逃げ道となる)、2000年頃よりポリオレフィン系の繊維などを混入して高温時に水分の逃げ道を生じさせる対策が行われている。
- 遮蔽コンクリート
-
鉛などの比重の大きな金属や高密度の骨材を用いるなどの方法で、放射線遮蔽機能を持たせたコンクリート。放射性廃棄物の容器、原子力施設の一部、核シェルターなどに用いられる。なお、コンクリート自体もガンマ線・中性子線等の遮蔽能力を有するが、遮蔽コンクリートはそれを更に強化したものである。重量コンクリートとも呼ばれる。
- 軽量コンクリート
- 軽量骨材などを用いて普通コンクリートよりも密度を軽くしたコンクリート。普通コンクリートよりは強度が劣るとされる。強度をさほど必要とせず、重量を節減したいシンダーコンクリートなどの箇所に用いる。超軽量コンクリートの中には比重1.0以下で水に浮くようなものも開発されている。
- 緑化コンクリート
- 直接植栽のできるコンクリートであり、主に屋上緑化や壁面緑化、河川の護岸工事に用いられる。粗骨材の間に空隙を持たせ、根・空気・水が通るようになっている。
- 水密コンクリート
- 高い水密性を求められるプール・水槽等に使用されるコンクリートである。
参考文献
- 小林一輔『コンクリートが危ない』1999年 岩波新書 ISBN 4-00-430616-7
関連項目
外部リンク
*