インターネット・バブルは
1990年代後半、米国市場を中心に起った
インターネット関連企業の実需投資や株式投資の異常な高潮。
情報・
通信産業の急激な発展と、それに過大な期待を寄せた投資家の過剰投資によってもたらされた
バブル現象である。
インターネットで商業用に用いられるドメインの".com"から
ドットコムバブルや、
ITバブルと呼ばれることもある。ドットコム会社と呼ばれる多くのIT関連ベンチャーが設立され、
1999年から
2000年初め頃をピークに株価が異常に上昇したが、2000年春頃、バブルははじけた。
背景
1990年代後半、消費者との直接の双方向的通信を大量に処理できるe-コマースの可能性が現実化し、既存のビジネス・モデルを揺るがせた。1995年に
マイクロソフト社の
Windows95が世界的に商業的な大成功をおさめ業務用や家庭用でのパソコンの普及が急速に進んだことや、
アップル社との熾烈なOS競争、さらに
インテルや
AMDなどチップメーカーを巻き込んだハードウェア競争が背景となって、多くの会社がインターネット関連投資に走り、競合を差別化するための革新的な技術やサービスを提供する(あるいはその可能性がある)IT関連企業に注目が集まった。さらに
1998年から1999年にかけて持続した米国の低金利が
ベンチャー創業資金や投資資金の調達を容易にした。
そして、現在の収益よりも将来見込まれる収益(及び収益を生み出されると考えられたビジネスモデル)に期待して投資が行われたことが、IT関連企業の株価が急騰した理由としてあげられる。コンピュータやソフトウェア、インターネットに関わる技術は多くの投資家にとって非常に高度で、また初めて聞く用語ばかりがちりばめられた事業計画書を理解できる投資家は少なかった。また
デファクトスタンダードを勝ち取る先行者だけがすべての利益を持ち去るインターネットのビジネスモデルは少なからぬ投資家にとって相当魅力的なものであった。
他にも、折からの
2000年問題で関連企業株がもてはやされた等の意見がある。
株価
同様の傾向は、米国株式市場だけでなく、欧州・アジアや日本の株式市場でも見られた。このような中で株式を公開したベンチャー企業創業者は莫大な富を手にし、
シリコンバレーを中心にベンチャー設立ブームに拍車をかけた。米国ではドットコム・ブームと呼ぶ。
崩壊
このような株価の崩壊のなかで、多くの通信向けビジネスを主とするIT関連ベンチャーは倒産に追い込まれ、2002年の米国IT関連失業者数は56万人に達した。ヤフーや
アマゾン・ドットコム、イーベイなど本業に十分な実績を確保することの出来た一部の堅実なベンチャーのみが生き残ることができた。
また、パソコンや通信設備の世界的な生産の減少と、これら製品に多く使われ、これら製品の生産増を当て込んでいた
半導体の過剰設備、過剰在庫が不況に拍車をかけた。北米を中心に過剰な
光ファイバーの敷設が行われ、
ダークファイバ問題を起こした。
世界的影響
欧州諸国のなかでも英語圏で賃金コストが低かった小国
アイルランドにIT関連企業の直接投資が相継ぎ、アイルランドはこのブームに乗って「ケルトの奇跡」と呼ばれる経済成長を達成した。バブルの崩壊はアイルランド経済にも痛手を与えたが、決定的なダメージを受けることはなかった。同じく英語人口が多い
インドにも
ソフトウェア関連の投資が増加し、インド経済に好影響を与えた。
中国でも当時株式公開を行った
聯想集団などのIT関連企業の株価はいきなり高値を付けた。その後、これら企業の株価は下落を続けたが、中国のITブームはようやく緒に付いたばかりであったので、大きな打撃を受けることはなかった。
日本における影響
日本では
1990年代終盤に顕著であり、社名やサービス名に"e-"、"i-"などを冠したり、
ビジネスモデル特許出願を標榜したりするだけで注目を集めて投機の対象となった。しかし、いわゆるIT産業を形成する企業の多くは経営基盤の脆弱な
ベンチャー企業であり、
ヤフーや
楽天など一部の成長した企業を除いて多くは失速していった。
第2次橋本内閣が打ち出した
金融ビッグバンにより株式をネットで売買できるようになり、また、株式売買手数料の自由化もあり、個人投資家が増えていった時期でもある。1999年から2000年春にかけて、とくに
ソフトバンクや
光通信といった銘柄は個人投資家の取引により大きく値が飛んだ。
それらの急増した個人投資家に注目されるべく、
ライブドアや
村上ファンドといった企業グループは株価を吊り上げる時価総額至上主義を追求したが、ついにはその自らの無謀な拡大経営によって違法行為に手を染めざるを得なくなり、やがて自滅していくこととなった。
また、
半導体の過剰設備、過剰在庫が、
ソニーや
NEC、
東芝といったパソコンや半導体の生産企業の株価や業績を大きく落とすことになる。
一方、この時期は
パソコン、インターネットがもてはやされたことからパソコンの販売やインターネットへの加入が促進され、家庭におけるパソコン、インターネット普及率が上昇している。
その他
元ジャーデン・フレミング投信(現JPモルガン・フレミング・アセット・マネジメント)のファンドマネージャーの藤野英人(現レオス・キャピタルワークス代表取締役)もIT企業の中小型株ファンドの運用に失敗して顧客に多額の損失を被らせたといわれる。
横田濱夫も2006年6月7日の
TBSの報道番組での藤野のコメントについて、自らのブログで顧客に多額の損失を被らせた藤野に
村上世彰を批判する資格は無いとの趣旨の主張を述べている。
関連項目
外部サイト
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