歴史
セカンドソースメーカーとして
当初、AMDはインテルの
セカンドソースでプロセッサを製造するメーカーの一つだった。
しかしインテルは業績の向上とともに製造能力を拡充したことでセカンドソースを必要としなくなり、
1985年発表のIntel 386プロセッサ(当初の名称は80386)以降インテルはセカンドソースを認めず、製造に必要な資料を公開しない方針を取った。多くのセカンドソースメーカーはそれを期に撤退したが、AMDをはじめとした数社は独自の開発を行い同一ではないものの互換性のあるプロセッサの製造を開始する。
- 1975年:インテルとセカンドソース契約を締結。当時のライセンスは8085。
- 1982年:インテルと8088のセカンドソース契約締結。IBMがIBM PCに搭載するチップにセカンドソースを要求したため、インテルはAMDを含む複数の製造会社と契約せざるを得なかった。
- 1987年:386ライセンスに関しAMDとの12年に及ぶ訴訟が始まる。この訴訟は1994年に結審し、それを受けて今後はインテルの知的財産を利用しない条件で互換プロセッサの開発販売の権利を得た。
- 1988年:インテルがAMDを286の特許権侵害で告訴。だが、インテルの提出した証拠書類に改ざんがあった事が発覚、また、セカンドソースライセンスが有効と認められ再審の結果AMDが勝訴。
互換プロセッサの開発と路線の変更
AMDは
1991年、最初の互換プロセッサ「
Am386」を投入する。インテルは既に次世代製品のi486シリーズを発売しており、同プロセッサは旧世代ではあるが低価格製品として採用された。
AMDはi486互換プロセッサ「
Am486」の開発を進めていたが、インテルによるAMDのマイクロコード使用が不正なものであるとして争われた訴訟の結果、Am486は出荷差し止めの仮処分を受ける。
1993年に出荷された
Am486プロセッサは、
Am486DXや
Am486SX等が出荷され互換プロセッサとして好調な売れ行きを見せ、
1995年には486プロセッサのアップグレードパスとしてi486互換プロセッサ「
Am5x86」を出荷した。
Am5x86はi486DX4とピン互換であり、160MHzで稼動させることでインテルの
Pentiumプロセッサ100MHzと同等、133MHzで稼動させることで75MHzと同等の性能を発揮するとして、486プラットフォーム用プロセッサとして好評を博した。
1996年には、Pentium(P54C)プロセッサと「ピン互換」の「
K5」プロセッサを出荷し、安価な互換製品として認知されていたが、開発の遅れにより収益にはあまり貢献しなかった。
当時のAMDはK5シリーズに続く開発中の次世代プロセッサK6シリーズの性能が向上しない問題に直面していた。そこで、K6と同世代の
Nx686を開発中だったプロセッサメーカーのNexGen社を買収し、同社の開発チームを手に入れるとともに、Nx686を元にSocket 7と互換性を持つよう設計変更した「
K6」プロセッサを
1997年に出荷した。K6はPentiumのSocket 7と互換性があり
MMX拡張命令セットも実装した。K6は発売当初からMMX Pentiumシリーズよりも高クロックで動作している。
AMDは引き続きP5バス互換プロセッサの開発を進め、
K6に「3DNow!」を追加した「
K6-2」を発表した。K6-2は
Pentium IIに迫る性能をもち、大手メーカーが製造するPCにも採用された他、P5バスにおけるアップグレード手段としても人気があった。
1999年に出荷された
K6-IIIプロセッサは、整数演算性能ではPentium IIIを超える性能をもっており、AMDはPentium IIIよりも高速であると主張していたが、浮動小数点演算性能ではPentium IIIに及ばず、浮動小数点演算性能が重視される分野への採用は進まなかった。
浮動小数点演算性能については、3DNow!を使用することにより改善するものの、AMDは3DNow!を扱うためのライブラリを提供するのみでソフトウェアの開発環境が整わなかったことから、3DNow!に対応したソフトウェアは少なかった。
互換プロセッサメーカーは、性能面でインテル製のプロセッサに対抗できなくなったことやインテルの知的財産保護制度の活用により方針の転換を余儀なくされ、互換プロセッサ市場からの撤退や組み込み用プロセッサ市場への移行が進んだ。AMDは、この状況の中で
Athlonプロセッサの開発に成功し、インテル製プロセッサと性能面で対抗できたことで、当初は価格面で劣勢を強いられてはいたがx86互換プロセッサの製造・販売を継続することができた。
Athlonの登場とモデルナンバー導入
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K6-IIIではPentium IIIに対抗するには不十分であったことから、AMDは
1999年に浮動小数点演算性能を高めた
Athlonプロセッサ(開発コードネーム「K7」)を出荷した。訴訟の和解条件である非互換路線に転換し、独自のプロセッサバスと
CPUソケット (
Slot A) を採用した。Athlonプロセッサでは、AMDのプロセッサとして初めて
商標が採用された (AMD Athlon

Celeronに相当する低価格ラインには「
AMD Duron
寡占状態にある市場においては驚異的なことである。
「K7」から「Thunderbird」にかけてのAthlonはエポックメーカーとして成功したが、単純なクロック増加のみでの性能向上に限界が見えたこともあり、Athlon XP以後はキャッシュ・
レイテンシの改善や、
パイプライン適正化などによる効率化を重視し、クロック周波数以外での性能向上に力を注いでいく。しかし当時はクロック周波数の高さこそが性能の高さに直結するという風潮があった。そこでAMDは、周波数によらない性能を表すための指標となる「
モデルナンバー」を採用した。モデルナンバーは、当初はThunderbird比とされ、インテル製CPUのクロック周波数を意識したものではないとAMDは主張していたが、その後「モデルナンバーが『他社製CPUのクロック周波数』とMHz換算で同じ(例:モデルナンバーが2000+ならばクロック周波数で2,000MHz)であれば同等かそれ以上の性能を示す」とするプレスリリースを発表する。その当時『他社製CPU』を製造していたのは実質インテルしかなかった。その後、インテルがPentium 4で
ハイパースレッディング・テクノロジーを実装してからはこのモデルナンバーとインテル製CPUのクロック周波数が当てはまらなくなり、AMDでは「自社製CPUの性能を表すひとつの指標」としている。しかし、
Athlon 64(後述)の投入に合わせてモデルナンバーの再構築を行い、再びインテル製CPUのクロックの性能と同じであることを示すモデルナンバーを用いている。
そしてAMD64へ
2007年現在、x86アーキテクチャを64ビット拡張した「
Opteron」や「
Athlon 64」など第8世代 (K8)の各種マイクロプロセッサを市場に供給している。
AMDは、既存のx86命令セットを拡張しx86命令セットと上位互換の64ビット命令セットを開発、x86-64(のちに
AMD64と改称)としてCPUを発売した。比較的安価にそしてx86からの連続的な移行を可能とするAMD64命令セットが市場に(特にサーバ市場において)受け入れられた。
マイクロソフトも、IntelにAMD64と互換のある命令セットの採用を要請、IntelもAMD64と互換のある命令セットのプロセッサを発売し、マイクロソフトはAMD64に対応する
Windowsをx64 Editionとして発売した。
MicrosoftがAMD64およびIntel64に対応する製品にx64 Editionと命名した結果、それらの総称はx64となった。
技術的な買収
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1996年 Atiq Raza率いるNexGen Microsystems社を買収し、当時NexGenが開発中だったNx686というx86互換CPUを手に入れた。
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2002年 MIPSアーキテクチャのプロセッサの設計・開発を行っていたAlchemy Semiconductorを買収。
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2003年
8月 ナショナル セミコンダクター (NS) からセットトップボックスやシンクライアント向け、x86互換統合プロセッサの「Geode」(ジオード)の開発を中心とする部門を買収。
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2006年
6月 Alchemyプロセッサ部門をRMI (Raza Microelectronics, Inc.)に売却することを発表した。
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2006年7月、AMDはグラフィック部門、チップセット部門を持つカナダのATIを総額54億ドルで買収した。これにより、AMDはグラフィック、チップセットの拡充に加えATIが所有しているインテルとのクロスライセンス権を所有する事にもなった。このクロスライセンス契約の中には、インテルが特許を所有しているバスシステムに関するものもあり、このクロスライセンス契約によりATIはインテル向けのチップセットを作成していた。しかしインテルのライセンスは製品世代ごとのライセンス方式に切り替えていたことから、インテルが直接競合するAMDの一部門となったATIには新製品のライセンスは締結されず、ATIはAMDプロセッサ向けチップセットの製造に注力している。AMD Fusionなどを始めとする、新たなアーキテクチャの開発が進むと見られている。
製品群
マイクロプロセッサ
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Intelのセカンドソース(一部)
- AMD Am9080: 当初、ライセンスなしで生産されたが、後にIntelと契約。
- Am8080
- Am8086
- Am8088
- Am80186
- Am80286:オリジナルのi80286より高速な、16/20Mhzのクロックを持つCPUを発売。
- AMD開発品
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AMD K5:Pentiumピン互換。
- AMD K6
- AMD K6:MMX Pentiumとピン互換。
- AMD K6-2:Pentium II対抗。「3DNow!」実装。その開発呼称からK6-3Dとも呼ばれる。
- AMD K6-2-P:K6-2のモバイル版(PowerNow!は未搭載)
- AMD K6-2+:K6-2に128KBのL2キャッシュを実装した高クロックモバイル版(PowerNow!搭載)
- AMD K6-III:256KBのL2キャッシュを実装。
- AMD K6-III-P:K6-IIIのモバイル版(PowerNow!は未搭載)
- AMD K6-III+:K6-IIIの高クロックモバイル版(PowerNow!搭載)
- AMD K7:K6までのアルファベットと数字の組み合わせによる製品名を改め、固有名詞を付けることになった。
- Athlon
- Athlon XP:モデルナンバーの導入に併せ名称をリニューアルした製品。”XP”はeXterme Performanceの略。
- Athlon MP:デュアルプロセッサ向けのAthlon。
- Athlon 4:初期のモバイル向けAthlonに使用された名称。”4”は4世代目のAthlonから。
- Duron:Athlonシリーズの廉価版。キャッシュ容量が削減されている。
- AMD K8:「AMD64」を実装。
- Athlon 64
- Athlon 64 X2:Opteronに次ぐK8系デュアルコアプロセッサ。
- Athlon X2:Athlon 64 X2の改称。
- Athlon 64 X2 Dual-Core for Notebooks:x64対応デュアルコアモバイル向けプロセッサ。後述するTurion 64 X2の廉価版およびOEM向け版にあたる。
- Athlon X2 Dual-Core for Notebooks:Athlon 64 X2 Dual-Core for Notebooksの改称。
- Athlon 64 FX:Athlon 64の上位製品。Athlon FX-60以降はデュアルコア。
- Opteron:サーバ向けCPU。デュアルコア版も存在する。
- Turion 64:モバイル向けK8プロセッサ。Mobile Athlon 64の改称。
- Turion 64 X2:初のx64対応デュアルコアモバイル向けプロセッサ。ソケットは専用品。
- Turion X2:Turion 64 X2の改称。
-
AMD K10:K8のマルチコア向け改良版。
- Phenom:クアッドコアプロセッサ。L3キャッシュを搭載する。
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Sempron:2004年に低価格機種向けに新設された、Duronの後継ブランド。
- Sempron for Notebooks:モバイル向けSempron。
- Sempron X2:K8系デュアルコアプロセッサの最下位製品。L2キャッシュ容量は大幅に減少している。
- AMD Geode:National Semiconductorから買収した低消費電力の組み込み向けブランドと製品群。
チップセット
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AMDチップセット
その他
呼称
AMDを「アムド」と呼ぶ人も多いが、AMDの日本法人である日本AMDは公式発表などでは常に「エーエムディー」と言っている。
販売促進イベント
2005年頃から、AMDとインテル両社がデュアルコア技術を押し出した製品をラインナップに加えたことから、2005年後半期よりユーザ確保の競争が熱をおびるようになった。AMDの優位性を誇示するために、
自作パソコンユーザが集まる店頭で
ベンチマーク対決を実施したり、法人ユーザへの導入実績に向けて「なぜAMDの製品を選んだか」をインタビューする内容の広告を製作している。
2006年以降より、PM(プロダクトマーケティング)担当の「兄貴」こと土居憲太郎と「紳士」こと森本竜英がそれぞれ登場し、秋葉原でのイベントで人気を博している。
関連項目
<!-- * 小野慎二郎
- 土居憲太郎
- 山崎友一朗
- Hector Ruiz -->
-
ダーク・メイヤー
脚注
外部リンク
*